2017/08/07 9:19 AM NEWS

寄附金の交際費化

神戸製鋼が11憶円申告漏れ

久しぶりのブログの更新。最近国税の課税事例があまり公表されず、
ネタに困っていたのだが、金額的にも内容的にも大きな事例である。


ここで挙げられている課税の根拠は、以下の通り。

-------
http://www.sankei.com/west/news/170803/wst1708030098-n1.html

神戸製鋼によると、国内工場の下請け会社が神戸製鋼OBに顧問料を
支払っていたが、神戸製鋼は下請け会社に顧問料を上乗せした請負作業費を
支払っていたという。国税局は本来は下請け会社が負担すべき顧問料を
神戸製鋼が実質的に肩代わりしており、全額は経費として認められない交際費に
当たると認定。請負作業費に見せかけ意図的に所得を圧縮しようとしたと
判断したもようだ。
-------


上乗せで払った金額が交際費になる、としている訳だが、ご覧いただくと
わかるとおり、「実質的に肩代わり」していることが問題になっている。
肩代わり、ということは払う必要のないものを払ったということであり、
このようなものは寄附金になるはずだろう。



 
国税の税務調査実務で問題になっていることの一つに、寄附金の交際費化という
問題がある。文字通り、寄附金とするべきものを交際費として国税が課税することを
揶揄しているわけだが、この理由は大企業の場合、交際費の方が税金をとれるからで
ある。

大企業については、交際費は全額経費が不算入になる。この制度を国税は活かし、
寄附金でも交際費にもっていこう、こんな安直な課税がなされる。困ったことに、
法律上、交際費に「贈答」が入っているため、寄附と交際費の区分は難しい。

両者を区分するのは難しいが、

寄附金⇒見返りのない費用
交際費⇒(すぐに見返りはないかもしれないが)将来の見返りのある費用

こんな区分は容易につくはずだ。このあたり、法律からはここまでシンプルに読めない
ため、いろいろと国税と無益な戦いが待っている。


最後はネゴなので、国税に物申しができる税理士を顧問にしておくといいのだが、
そうなるとOB税理士の特権がまた増える、というまた別の問題が出てくる。

注意して、国税と交渉する必要があると言えそうだ。


 



ABOUT ME

松嶋洋 税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中
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