2014/01/22 10:42 AM NEWS

スーツは特定支出になるのか?

サラリーマンのスーツが経費になる

最近、新聞を読むとこのような記事が見られる。平成24年度改正で実現した
特定支出控除の拡大について報道したものだが、この点税理士から見ると
違和感が多い。

というのも、衣服は経費としてはいけない、という当局の指導があるからだ。
拙著をご覧いただいた方には繰り返しになるが、制服のようなものでない
限り、プライベートでも着れるから衣服は経費にならない、というわけ。

この点、条文を見ると、
所得税法57条の2(給与所得者の特定支出の控除の特例)2項
前項に規定する特定支出とは、居住者の次に掲げる支出(その支出につきその者に
係る給与等の支払をする者(以下この項において「給与等の支払者」という。)により
補てんされる部分があり、かつ、その補てんされる部分につき所得税が課されない

場合における当該補てんされる部分を除く。)をいう。
一~五 省略
 六  次に掲げる支出(当該支出の額の合計額が六十五万円を超える場合には、
六十五万円までの支出に限る。)で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要

なものとして財務省令で定めるところにより給与等の支払者により証明がされたもの
 イ 書籍、定期刊行物その他の図書で職務に関連するものとして政令で定めるもの
 及び制服、事務服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服で
 政令で定めるものを購入するための支出
 ロ 省略
見ていただくとわかるが、「制服、事務服その他の勤務場所において着用することが
必要とされる衣服で政令で定めるもの」であるため、考えとしては制服等、他では
着られない衣服に限定されているとしか思えない。
法令解釈上、「その他の」というのは例示を意味する。
このため、制服のようなものとスーツは違う、としてきた
当局の見解からは、スーツが特定支出になる、とは
導けない。
この点、上記のような強気の報道の根拠は財務省の
官僚が税制改正の解説をする、「改正税法のすべて」
にある。ここでは、スーツが特定支出になる旨が
明記されている。

つまり、作った本人の意見が法律解釈に優先する、
というのが日本の税制。租税法律主義からすると、
考えられない現実がここにはあると考える。



ABOUT ME

松嶋洋 税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中
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