2014/04/08 10:00 AM NEWS

財産分与は譲渡所得か?

財産分与に贈与税はかからない

 
これは、かなり常識的な取扱いだが、その理由についてはなかなか知られて
いない。この点、所得税の通達によると、以下の通り指摘されている。

所得税法基本通達33-1の4(財産分与による資産の移転)
民法第768条《財産分与》(同法第749条及び第771条において準用する場合を含む。)の
規定による財産の分与として資産の移転があった場合には、その分与をした者は、
その分与をした時においてその時の価額により当該資産を譲渡したこととなる。
(注)1 財産分与による資産の移転は、財産分与義務の消滅という経済的利益を対価とする譲渡であり、
    贈与ではないから、法第59条第1項《みなし譲渡課税》の規定は適用されない。
2 財産分与により取得した資産の取得費については、38-6参照

財産分与により義務がなくなる、という債務の消滅に係る経済的利益があるため、
財産分与は(反対給付性のない贈与)ではなく、譲渡、という整理がなされているわけだ。

この点、常識的といいつつ、かく言う私は常に混乱する。
というのも、仕訳で考えると難しいからだ。


債務の消滅、ということは、債務を認識する必要が出てくる。

債務損失? ××× / 財産分与義務 ×××

財産分与義務××× / 譲渡資産 ××
           譲渡所得 ××

こんな仕訳になるだろう。この債務損失?の取扱いは
どうなるか、一見すると、かなり難しい。

税法は税金をとるための法律なので、おそらく
税金計算には影響のないプライベートなもの、という
整理に落ち着くだろう。

さて、ここからが問題。税法は控除科目を制限するが、
反面純資産増加にはうるさい。

財産分与義務の反対として、財産分与権利が生ずるはず。
これについては、課税すべき、と結論付けられるだろう。

反対給付性はないから、贈与税の課税対象には
なりそうだけど、これについて課税した、などという
話は聞かない。

なお、非課税財産に、この権利は上がっていない。

このあたり、どう整理することになるのか?



ABOUT ME

松嶋洋 税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中
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