2014/04/09 10:00 AM NEWS

営業譲渡の課税標準

営業譲渡は消費税の対象

 
これは、条文上明確な規定だが、大きな問題が二つある。
一つは課税標準額をいくらとするか、そしてもう一つは
営業譲渡に伴って生ずる営業権の意義についてである。

今回は、前回の財産分与とも絡む課税標準額について
考察しよう。例えば、ある会社が以下のようなA事業を
営業譲渡するとする。

A事業⇒()は時価
資産 100(120)
負債  80( 80)
純資産 20( 40)

所得課税の考え方からすれば、時価及び簿価純資産の
差額である、20(=40-20)が課税対象となるが、
消費税ではどうなるか?


この点について、条文をストレートに読むと、

資産の対価⇒120
負債の引受け利益⇒80

の計200が課税対象とも実は解釈できる。
消費税法28条(課税標準)

課税資産の譲渡等に係る消費税の課税標準は、課税資産の譲渡等の対価の額
(対価として収受し、又は収受すべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは
権利その他経済的な利益の額とし、課税資産の譲渡等につき課されるべき
消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に
相当する額を含まないものとする。以下この項及び次項において同じ。)
とする。(後略)

資産の譲渡対価としてもらう金額はもちろん、譲渡に伴って
負債も少なくなった(経済的利益)ので、その分利益となります、
という解釈が可能になるわけだ。

しかしながら、A事業に対して払うお金は、決して200ではない。
40だろう。なぜなら、引き継ぐ方は、資産を買うというメリットが
ある反面、負債を引き継ぐというデメリットがあり、差額しか
払わないのは当然だからだ。この点、消費税はかからないが、
組織再編成も同様の考え方をしている。

このため、消費税の課税標準も40なのでは?と思う(「対価として
収受すべき」と解釈できる)が、反面経済的な利益で収入した
80が存在する、という指摘もないわけではない。

金額が大きく変わるので何とかしてほしいが、
どう考えるべきなのか?



ABOUT ME

松嶋洋 税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中
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