2014/04/16 10:00 AM NEWS

調査不適切事例?その2

税理士より先に連絡して苦情に発展

 
こんなことがあったらしい。経営者となるべく連絡を取ってほしくない、
税理士としては当たり前の感覚だが、現行法上、どちらから先に連絡を
とるか、これに関して規定はない。
国税通則法74の9(納税義務者に対する調査の事前通知等)1項
税務署長等(国税庁長官、国税局長若しくは税務署長又は税関長をいう。
以下第七十四条の十一(調査の終了の際の手続)までにおいて同じ。)は、
国税庁等又は税関の当該職員(以下同条までにおいて「当該職員」という。)
に納税義務者に対し実地の調査(税関の当該職員が行う調査にあつては、
消費税等の課税物件の保税地域からの引取り後に行うものに限る。以下
同条までにおいて同じ。)において第七十四条の二から第七十四条の六まで
(当該職員の質問検査権)の規定による質問、検査又は提示若しくは
提出の要求(以下「質問検査等」という。)を行わせる場合には、あらかじめ、
当該納税義務者(当該納税義務者について税務代理人がある場合には、
当該税務代理人を含む。)に対し、その旨及び次に掲げる事項を
通知するものとする。

納税義務者(税務代理人を含む。)だから、順番は関係なく、どっちから
先にしても問題ないだろう、というわけだ。

こういわれると、反論は難しいが、近年の弱腰の調査官は、法律があるにも
かかわらず苦情を受けて調査を見送ったらしい。言語道断の不適切事例だろう。


先日の話ともつながるが、どっちから先にしてもいい、ということから
税理士に経営者に事前通知するタイミングについて、調整を依頼する
税務職員がいる。

このこと自体、悪くはないと思われるが、経営者との調整という
点において税理士を信頼し、経営者本人への調査予告という点に
おいて税理士を信頼しないのは、どう考えても矛盾がある。

調査の実施は非常に重要なことなので、経営者と話さなければ
ならない、といったことをのたまうわけだが、逆の見方を
すれば、非常に重要な調査の実施は、調査官ではなく、税務署長
が行うべき、というロジックになるだろう。この点、先の法律を
見ても、主語は「税務署長等」である。

もちろん、こんなことを言っても「適正な委任を税務署長から
受けていますので」と当局は反論するのだが、適正な委任を
経営者から受けているのも税理士である。

こういう議論をすると、トラブルに発展するわけで、この点から
も税理士に事前通知が一本化されるという改正が実現するのは、
非常に望ましい。



ABOUT ME

松嶋洋 税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中
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