2014/04/17 10:05 AM NEWS

負担付贈与の課税関係

負担付贈与は譲渡所得と贈与税課税

 
負担付贈与も贈与である以上、贈与税の対象にはなるが、それと同時に
贈与も譲渡に含まれるため、譲渡所得の対象にもなる、という結論になる。
贈与者は贈与の見返りに負担がなくなるので対価を得て行った資産の譲渡となり、
受贈者は譲り受けた財産から承継した負担部分を控除した残額に対し、
贈与税が課せられることになる。

負担付贈与はこのように、整理しやすい課税関係となっているものの、
少し混乱するのが負担付贈与があった場合の贈与税の財産評価。負担付贈与の
場合、例えば以下の通り、通常の財産評価とは異なる評価を行うことがある。

財産評価基本通達169(上場株式の評価) 
上場株式の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げる
ところによる。

(1) (2)に該当しない上場株式の価額は、その株式が上場されている
金融商品取引所(国内の2以上の金融商品取引所に上場されている株式については、
納税義務者が選択した金融商品取引所とする。(2)において同じ。)の公表する
課税時期の最終価格によって評価する。ただし、その最終価格が課税時期の
属する月以前3か月間の毎日の最終価格の各月ごとの平均額(以下「最終価格の月平均額」という。)
のうち最も低い価額を超える場合には、その最も低い価額によって評価する。

(2) 負担付贈与又は個人間の対価を伴う取引により取得した上場株式の価額は、
その株式が上場されている金融商品取引所の公表する課税時期の最終価格によって評価する。

簡単に言えば、負担付贈与の場合には原則アローアンスがない、ということである。


この点、ものの本を読むと、以下のようなポイントが指摘されている。

① アローアンスがあると租税回避につながる
② 単純贈与に比して、負担付贈与は税金が低いから、アローアンスは必要ない

負担付贈与が贈与税逃れになることを前提に、単純贈与と負担付贈与で
取扱いを分けた、ということが骨子の模様。結果として、負担付贈与の場合の
評価額は取引価格、もう少し言えば所得課税における時価と近いものとなる。

一見すると、問題はないかのように思えるが、租税回避をブロックすること
が目的であれば、評価をいじるのではなく、何か別の特例を設けるべきではないか。
負担付贈与であろうと、単純贈与であろうと、第三者的に言えば、財産の価値は
かわらない。

となれば、評価を変えるべきではなく、評価について定めた財産評価基本通達
以外の法令で、その旨を明記すべきだろう。



ABOUT ME

松嶋洋 税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中
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