2014/05/16 10:00 AM NEWS
どうしても解釈できない措令39の12⑧ハ~その2~
出来の悪い条文との戦いほど不毛なものはない
と個人的には思っているが、先日から述べているこの法律はその典型だろう。
措令39の12(国外関連者との取引に係る課税の特例)⑧一ハ (1)及び(2)に掲げる金額につき当該法人及び当該国外関連者ごとに合計した 金額がこれらの者に帰属するものとして計算する方法
(1) 当該国外関連取引に係る棚卸資産の当該法人及び当該国外関連者による販売等に係る所得が、 当該棚卸資産と同種又は類似の棚卸資産の非関連者による販売等((1)において「比較対象取引」という。) に係る第六項、前項又は次号から第五号までに規定する必要な調整を加えないものとした場合のこれらの 規定による割合(当該比較対象取引と当該国外関連取引に係る棚卸資産の当該法人及び当該国外関連者に よる販売等とが当事者の果たす機能その他において差異がある場合には、その差異(当該棚卸資産の販売等に 関し当該法人及び当該国外関連者に独自の機能が存在することによる差異を除く。)により生ずる割合の差につき 必要な調整を加えた後の割合)に基づき当該法人及び当該国外関連者に帰属するものとして計算した金額
(2) 当該国外関連取引に係る棚卸資産の当該法人及び当該国外関連者による販売等に係る所得の金額 と(1)に掲げる金額の合計額との差額((2)において「残余利益等」という。)が、当該残余利益等の 発生に寄与した程度を推測するに足りるこれらの者が支出した費用の額、使用した固定資産の価額その他 これらの者に係る要因に応じてこれらの者に帰属するものとして計算した金額 (1)でも(2)でも、総体としての利益を案分するのだから、基本的に 差額などは生じないはず。となると、どういうこと?と思うわけだ。 たしかに、「独自の機能が存在することによる差異」という文言はあるが、 移転価格税制において、「機能」は独立企業間価格に影響を与える重要な ファクターであるところ、「無形資産」とは一線を画すもの、のように思われる。
このあたり、どうしてもわけがわからないのだが、私見を申し上げると、
租税特別措置法施行令には「無形資産」という用語がない。
用語がない、ということは決裁が通りにくい。新しい用語を使うと
なると、その意味内容で揉めることになるからだ。
こういう意味において、法律を作る作業も、実はかなり
前例踏襲によっている。
結果、分かりやすい用語の制約を受けることになり、
訳が分からない、という条文が完成するわけだ。
(長くなったので、また次回へ)
税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中。
@yo_mazs
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