2014/06/19 9:10 AM NEWS

インボイスの課題

複数税率の場合の経理

 
前回に引き続き、与党税制協議会が消費税の軽減税率の素案の内容を
見てみると、区分経理のための仕組みについて検討されている。

具体的には、「軽減税率制度を導入する場合、適正な税額計算のため
には区分経理のための仕組みが必要となるが、事業者の事務負担や
適正な請求書等が発行されることの担保、免税事業者への影響と
いった課題・論点について、以下整理する。」とされ、4つの
方式が議論の俎上に上っている。

(A案)区分経理に対応した請求書等保存方式
(B案)A案に売り手の請求書交付義務等を追加した方式
(C案)事業者番号及び請求書番号を付さない税額別記請求書方式
(D案)EU型インボイス方式

制度の詳細は割愛するが、A案はできるだけ現状を変えない方式、
D案は番号制を活用する正確性の高いインボイス方式、
BとCはそれぞれの中間、といったイメージがある。


詳細に至るまで検討したわけではないが、私見を
申し上げるとD案以外に軽減税率は無理、と
考える。

インボイスの本質は、税の積み上げ計算にある
のだが、A案とB案は現行にならったものだから、
積み上げ計算にはそぐわない。となれば、先日の
どうでもいいですよ、という複雑な制度が
残ってしまう話。

本素案でも指摘されているが、インボイスの場合、
売手が税率を間違えても、買手もその間違えた
税率に基づく仕入控除を受けるので、事実認定の
問題はそれほど大きくならない。もちろん、適用
誤りはあり得るが、それは税務当局との交渉で
方がつくので、他の仕組みよりもコストは小さいと
考える。

この場合、D案の方がより正確性が高いわけで、
税務調査のコスト、というネック解決にもD案が
望ましいと思われる。

となった場合、番号制を推し進める必要があるが、
これが大きなネックとなりそうだ。
 



ABOUT ME

松嶋洋 税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中
@yo_mazs

twitter


BOOKS/DVD

メールマガジン登録

都道府県

TWWET

LATEST POST

  • 「概ね」1年以内なので、1年でいいはずがない

    「概ね」1年以内に取り壊せば取得価額に入れない ため、1年おけば除却損で落ちるなんて短絡的な結論になる訳ない。 これって、税理士が提案したのかな? ...
  • 社会保険料と非常勤役員

    税も仕組みは酷い ですが、それをはるかに超える酷さが社会保険。 実質判断もなされるため、最終的には‪ケースバイケースの 判断になりますが、こういう...

CATEGORY