2014/06/24 11:08 AM NEWS

懲戒免職税理士の登録制限は意味があるか

懲戒免職となった公務員の税理士登録制限

 
平成26年度改正で早々に措置されたこの規定。税理士の品位を著しく
低下させるとともに、OB税理士の本性と、税理士を監督する
税理士会の機能不全を世に知らしめた、件の事件の反省があるのだろう。
率直に評価したいところだが、内容はまだ疑問符が残る。

税理士法4条(欠格条項)
次の各号のいずれかに該当する者は、前条の規定にかかわらず、
税理士となる資格を有しない。
九 国家公務員法若しくは国会職員法の規定による懲戒免職の
処分を受けるべき行為をしたと認められたことにより退職手当
支給制限等処分(国家公務員退職手当法 (昭和二十八年法律
第百八十二号)第十四条第一項第三号に該当することにより同項
の規定による一般の退職手当等(同法第五条の二第二項に規定する
一般の退職手当等をいう。以下この号において同じ。)の全部
若しくは一部を支給しないこととする処分又は同法第十五条
第一項第三号に該当することにより同項の規定による一般の
退職手当等の額の全部若しくは一部の返納を命ずる処分をいう。
以下この号において同じ。)を受けた者又は地方公務員法の規定
による懲戒免職の処分を受けるべき行為をしたと認められたことに
より退職手当支給制限等処分に相当する処分を受けた者で、これらの
処分を受けた日から三年を経過しないもの

ご覧いただくとわかるが、

① 退職金支給制限を受けた者
② 3年以内の登録制限

というかなり緩い制限になっている。




 
基本的に、税務職員は懲戒免職をしない。これは、懲戒免職をすると、
解雇不当として訴訟を起こされるなど面倒な処理があるからだ。
このため、基本的には退職金を支給するから、というエサを基に
依願退職をしょうようする。

となった場合、件の元OB税理士とまではいかないものの、
資質のない税務職員がOB税理士となる道は残されるわけだ。
おそらく、「資格ももらえるから、依願退職しろ!」という
甘い文言もこれから使われるだろう。

3年以内という文言も甘い。税務職員はできることが税(
法律は知らないが、実務は分かるという意味で)しかない
わけで、「3年我慢した方がいい」という悪辣な輩も
生ずる可能性を指摘できる。

このあたり、どう考えているのか、改正税法のすべてを
早く読んでみたいものだ。




ABOUT ME

松嶋洋 税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中
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