2014/09/01 9:58 AM NEWS

「不当」は結果か目的か

行為計算否認の適用範囲は結果で見るべき

 
件のIBM判決の解説として、連結納税等の立案者の見解が某税務雑誌に
掲載されていたので読んでみた。問題となった行為計算否認につき、
その適用は税負担が不当に減少したという「結果」で考えるべき、
と解説されている。このため、多数派の「租税回避目的」の有無、
ということに関して、それは解釈の誤りであるかのような指摘が
なされている。

私自身の理解力の問題が大きいと思うが、この指摘がイマイチ
ピンと来ない。条文を読んでみると、確かに「結果」という
用語は出てくるのだが....

法人税法132条(同族会社等の行為又は計算の否認)
税務署長は、次に掲げる法人に係る法人税につき更正又は決定をする場合において、
その法人の行為又は計算で、これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる
結果となると認められるものがあるときは、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の
認めるところにより、その法人に係る法人税の課税標準若しくは欠損金額又は法
人税の額を計算することができる。
一 内国法人である同族会社
二 省略




 
不当に減少する結果、というポイントは確かに理解できる。
税務当局が税務調査で是非を判断するスタートは、結果から
逆算することになるからだ。

ただし、それが「不当」か否かは目的に照らさないと
分からないのでは、と思ってしまう。となれば、実務の多数派と
同様、行為計算否認の適用は私自身も目的論が重要と考える。

結果的に税金が減少したとしても、その目的が「正常なビジネス」
であれば、それをとやかく言われる筋合いはない。そうしないと、
誰も怖くてビジネスを行わないことになるし、予見可能性も
法的安定性もないことになる。

反面、税金を少なくしよう、という目的でやれば、
租税正義という観点からは多少なりとも問題が残るだろう。

このあたり、「結果」が不当と評価される、すなわち
「こんなに税金減らないよね、普通」といった形となれば、
行為計算否認の適用に乗るということだが、それは法の
欠陥であり、行為計算否認を持ち出す話ではないと
思うのだが誤りだろうか?




ABOUT ME

松嶋洋 税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中
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