2014/09/22 5:25 PM NEWS

デンソーの課税事案

デンソー追徴取り消し 

 
タックスヘイブン課税が問題になったのだが、報道によると、
12億円程度取り消されたとある。判決内容は公開を
当事者がさし止めているようで、詳細は分からないが、
タインズで「デンソー」と検索すると、タックスヘイブン税制
に係る事例が出てきたので、おそらくこれと思われる。

タインズによると、以下のような事実関係がある。

① 某国に設立した子会社
② 財務業務を始め、物流サービスを他の子会社へ提供
③ 従業員は②に従事しているが、株式の配当等の収入が70%超

とあった場合、主たる事業は株式保有業であり、
適用除外の対象外に当たる、と当局は認定した模様である。

これについて、「社員が70人ほどおり、物流と財務の
統括機能がある」などと主張してきたのが当社であるが、
この度名古屋地裁でその主張が認められた模様だ。



タックスヘイブン税制は、経済的合理性がある海外進出は
問題としない、という趣旨から、その子会社が行う「主たる事業」
に応じて、所定の適用除外規定を設けている。この「主たる事業」
の判断により、基準が異なるため問題になるのが、その判断に一例は
通達で下記の通りの定めがある。

租税特別措置法(法人税関係)通達66の6-8(主たる事業の判定)

措置法令第39条の14第2項第4号の規定を適用する場合において、外国関係会社が
2以上の事業を営んでいるときは、そのいずれが主たる事業であるかは、それぞれの
事業に属する収入金額又は所得金額の状況、使用人の数、固定施設の状況等を
総合的に勘案して判定する。

この通達は、適用除外規定に係る「主たる事業」の判定ではないが、
別意に解する必要性はないと考えられるため、ここにある通り
総合勘案すればいい、と思われる。となれば、当局の主張は単調、
と評価されるかもしれない。

実態がどうだったか、もう少し精査する必要はあるが、
従業員をこれだけ用意しているのに、株式のインカムゲインが
中心、というのは多少無理があるだろう。税の観点からは、
まず収益状況から見るのは鉄則ではあるし、当局も
裁決で述べているように、適用除外規定の適用は
事業年度ベースで見るのだが。

困ったことに、本件は4年分更正を受けているようで、
実際のところ取り消されたのは先の2年分のみ。となると、
他の2年分(係争中?)も、取消しと言う話になりそうだ。




ABOUT ME

松嶋洋 税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中
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