2015/02/02 1:17 PM NEWS

明確にされない取扱いと税務

ポイント制度の消費税

以前勤めていた税理士事務所でも問題になったが、
マイレージなど、いわゆるポイント制度に係る
消費税の取扱いが問題になることが非常に多い。
その取扱いが非常に不明確だからだ。

マイレージなどのポイントが経済活動に
与える影響は非常に大きい。にもかかわらず、
国税はその取扱いを明確にしない。いや、
明確にできないというべきだろう。

このようなケースにつき、どう考えるか。
非常に問題になることだが、ひとつ言える
ことは、その不利益は国が負うべきもの、
ということである。

本件と似た話で、構成員課税されるLLCの
外国税額控除がある。平成21年度改正前、
海外に子会社単位で進出する場合、子会社が
負担する外国法人税は、間接外国税額控除という
仕組みで負担することになっていた。

LLCは法人なので、理論的には間接外国税額控除
になるのだが、構成員課税されると、子会社ではなく
自社で外国法人税を納税する。そうなると、子会社が
負担する外国法人税はゼロになり、間接外国税額控除
はゼロとなる。

このため、直接外国税額控除でいけるか、と思われる
かもしれないが、アメリカで構成員課税される所得は、
日本ではLLCから配当を受けるまで課税されないため、
二重課税とならない。つまり、外国税額控除
を前倒しに受ける、という結論になるわけで、当然ながら
国税は認めないのでは、という疑義が生じていた。




 
この時も、経済界から大きな要望が寄せられていたにも
かかわらず、国税は見解を明確にしなかった。

大きな問題になっているにもかかわらず、それを
放置し、適正な納税を行おうとする納税者の真意を
尊重しなかったと言える。

うちうちに聞いたセミナーで、国税の幹部職員が
直接税額控除でいいです、などと言っていたが、
そのセミナーを聞いたのは上場企業の経理担当者など、
ごく少数の納税者である。課税の公平、などという
文句が滑稽に見えてくるのは私だけではないだろう。

課税制度を考えることは、極めて難しい問題である。
となれば、それができるまでの過渡的な扱い、という
ことで明確化する努力を怠らなければいいだけだ。

分からないまま時が過ぎれば、課税してはいけないものに
納税した、という不利益が時効で救済されないことになる。
そんな事態を許しておいて、何が租税正義だと言いたくなる。




ABOUT ME

松嶋洋 税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中
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