2015/03/30 11:45 AM NEWS

更正の申出の真実

更正の申出は補完ではない

確定申告期、過去の修正が必要になったため、更正の
申出を検討していたが、国税庁のホームページを見て
愕然となった。

税額を減少させるなど、納税者有利に申告内容を
変更する手続きが更正の請求であるが、平成23年度
改正により。その期間が1年から5年に延長された
のは周知のとおり。この改正は、平成23年12月2日
以後に申告期限が到来する租税に適用される。

この点、改正のインパクトが大きいこともあり、
本改正が適用される前の租税(すなわち、平成23年
12月1日以前申告期限到来分)についても、
更正の申出が認められている。納税者の権利ではない
ものの、温情として認めてあげる、という意味から、
「請求」ではなく、「申出」としているのである。

このため、古い年分のものでも更正の申出で
認めてもらえるな、と考えていたが、先の
ホームページでは、「純損失等の金額が少なかった方」
についてのみ、更正の申出ができるとある。
となれば、還付のために更正の申出は使えない、
という結論になると読めるのだ。


そんな馬鹿な、と思ったが、種明かしは
簡単。更正の申出は、増額更正ができる
期間について、温情として認めるという趣旨
なのだ。

増額更正、すなわち納税者の不利に税務署が
申告を訂正する手続きは、先の改正前、所得税は
3年(改正後は5年)だった。3年は増額更正が
できるのだから、それに応じて3年間は更正の申出を
認めてあげる、という趣旨。

このため、改正後の更正の請求のように、必ずしも5年
遡って訂正ができるものではないのである。

私の理解では、

改正後は5年遡れる→改正前は1年→ひどいから、
改正前も温情で5年

と考えていたが大間違い。正しくは、

改正後は5年→5年間増額更正もできる→
増額更正できる期間=減額できる期間
→増額更正できる期間=更正の申出の対象となる期間

という理解になる。

間違いやすいから注意してね、で終わることは
簡単。ここで言いたいことは、こういう仕組みが
正しいかどうか、ということ。

従来、増額更正は3年という話であったが、国税は
「嘆願書」なるものを提出させて、5年分の
税金を返すことがあった。法律で、減額する場合には
5年返せます、になっていたからだ。

嘆願書と更正の申出書、どこが違うのか。
両方とも、法律には載っていない、ある意味
国税の温情のわけで、それなら5年返せるのでは
と考えてしまう。

申出が期限切れ、といわれれば、嘆願書を
出せということだろうか。



ABOUT ME

松嶋洋 税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中
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