2015/12/14 10:00 AM NEWS
法法132の2の否認事例
注目を集める組織再編成の
行為計算否認
税務雑誌によると、裁決事例で新しい適用事例が あったようだ。組織再編成の行為計算否認(法法 132の2)については、経済的合理性だけでなく、 法の趣旨まで考えろ、という納税者にとってかなり 酷な判断が出たのは記憶に新しい。 この裁決事例(平成27年2月2日裁決)、TAINS にはまだ未収録だが、スキームを見る限りシンプルな ものであるし、資金を親に還流するという目的も 個人的には合理性があると思うため、問題はないと 思ったが、かなり厳しい判断がなされている。 要旨は以下の通りのようだ。
1 行為計算否認の適用是非は、専ら経済的、実質的見地に おいて純経済人の行為又は計算として不合理、不自然であるかを 判断の基礎とする 2 利益の還流は配当で足りるのに、合併及び借入金返済を 噛ませたのはおかしい 3 返済をかませた結果、支払利子の損金算入で約27億円 もの大きな法人税の節税が可能になったが、それは不当である 不当と言うが、合併を絡ませた真意については 記事だけではわからない。このあたり、国税が認定できないと、 裁判では厳しそう、という印象がある。 本件は、親から関連会社にキャッシュが出て、そのキャッシュを 貸し付けた後、再編をかませて被合併法人のキャッシュを回収し、 貸付金を返済することで親に資金を還流している。これだけ 見ると、迂回取引でけしからん、と国税は思うのだが、果たして それが不自然かというと、私個人の常識としては決してそうは 思わない。 「専ら経済的に合理的か」、「配当すれば足りる」というのは 判断としては少し短絡的な気がする。合併をかませると利子 分経費が増える、といった判断がある場合は別にして、このような 国税に有利な基準だけで判断するのは無理があるのではないか。 地裁でまた争うことになるだろうが、その際は合併した 理由なども明らかにしてもらいたい。目的も見なければ 「不当に減少」とは到底言えないはずだ。
税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中。
@yo_mazs
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