2014/01/30 9:00 AM NEWS

保証債務履行の特例

保証債務履行に係る課税の軽減

非常に有名な所得税の特例。保証債務を履行したにもかかわらず、
主債務者に求償できないのに、資産を手放すのは酷、ということが
勘案されて設けられた制度。

この点、非常に大きな問題になるのが、

主債務者から求償見込みないときに、債務保証しても適用がない

という点。この点、条文を確認してみると、

所得税法64条2項(資産の譲渡代金が回収不能となつた場合等の所得計算の特例)

保証債務を履行するため資産(第三十三条第二項第一号(譲渡所得に含まれない所得)
の規定に該当するものを除く。)の譲渡(同条第一項に規定する政令で定める行為を含む。)
があつた場合において、その履行に伴う求償権の全部又は一部を行使することができないことと
なつたときは、その行使することができないこととなつた金額(不動産所得の金額、事業所得の
金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を除く。)を前項に規定する
回収することができないこととなつた金額とみなして、同項の規定を適用する。
このうち、「行使することができないこととなった」という解釈が問題になるという。
できなくなった、ということには、後発事象による、という意味が込められているから、
明らかに求償できない主債務者を保証してもダメ、という結論が導かれるという。
しかし、ここまで解釈できるか、というと大いに疑問。「できなくなった」というのは、
当初の見込みというよりも、事実関係としてそうなった、という意味に捉えるのが
普通と思う。
何より、こう解釈できるようじゃないと、条文の解釈は非常に困難になる。
条文と格闘する、ことも必要であることは事実だが。
結論としては、解釈論というよりも、趣旨解釈の側面が大きいだろう。
その上で、本制度のロジックは、判例で認められた、というのが
本当のところと思う。
趣旨解釈は、税法では限定的とすべきだが、困ったことに、当局は
安易な節税を防止するため、往々にして使ってくる。結果、裁判で
認められると、条文がより怖いものになってしまう。
裁判で認められたから、という理屈があると、現行の条文で
大丈夫、という結論になり、改正も行われない。
 



ABOUT ME

松嶋洋 税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中
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