2014/02/06 10:00 AM NEWS

短期前払費用の趣旨と消費税

短期前払費用は仮払金等で経理する

 
先般、国税庁から出されたQ&Aにより、消費税増税で問題になっていた
短期前払費用の取扱いに決着が図られることになった。

http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/kaisei/pdf/201401qa.pdf

短期前払費用、とは一年未満の前払費用につき、継続して支払い時に
費用処理すれば、資産計上は不要で全額損金できるもの。節税の
王道であるが、これは法人税の適用を前提に、消費税でも認められている
(消基通11-3-8)。

となった場合、例えば12月決算法人が、平成26年分の短期前払費用を、
平成25年12月に前払いすると、8%部分(平成26年4月~)はどうなるか、
というのが大きな疑義だったわけだ。

この点、先のQ&Aでは、8%部分は仮払金とするか、はたまた5%で課税仕入れ
して、翌期調整する、という取扱いになる、と明記されている。

ふーん、で終わりそうだが、突き詰めてものを考えていくと、
如何に間抜けな取扱いかが見えてくる。

短期前払費用とは、経理事務等の簡便化から認められたものであり、
いわゆる重要性の原則が背景にある。

しかし、このQ&Aの取扱いは、非常に複雑なもので、重要性の
原則にはそぐわない。つまり、趣旨解釈から問題が大きい、
ということになろう。

何より、請求する側は5%部分と8%部分を分けて請求するから、
簡単に控除すべき税額は分かる話で、その金額の仕入控除を
認めても問題はないだろう。平成26年4月以降にならないと
施行できない、といった法制上の事態を重く見たのだろうが、
役員給与など法律関係ねぇ、みたいなことをしておいて、
なぜ杓子定規に法律を適用し、納税者を混乱させるのだろうか。

加えて、こんな複雑なことをやらせるのに、特段の経過措置を
設けなかった主税局も、間抜け、というそしりを免れないと
思うのは私だけだろうか。



ABOUT ME

松嶋洋 税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中
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