2015/02/16 10:02 AM NEWS
住所判定という不思議
日本に住所があるとして居住者認定
連日報道されるこのニュース。先も、スリーボンドの元会長が 居住者認定され、20億円超の申告漏れを指摘されたとのこと。 http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG04HB5_U5A200C1CC1000/ 本件では、近年は都内の高級ホテルに滞在し、日本での滞在日数が 海外での滞在日数を大きく上回っていたところ、日本に一年の半分 いたから日本居住者、と認定したとあるが、それだけで住所が日本に あるというわけではなく、いわゆる総合勘案の話になる。 総合勘案、というとよくわからないので、税務当局といわゆる 見解の相違が起こるわけだが、本件は「申告と納付を済ませた」 とあるから、期限後申告の提出の慫慂に応じた、ということに なる。 この元会長は居住地だとする米国などで申告・納税していたと あるが、これは米国居住者として申告していた、ということだろう。 となった場合、この期限後申告により元会長は二重居住者になる、 と想定される。
二重居住者に該当すると、日本でも外国でもすべての所得に 課税されることになり、国際的二重課税が発生する。これでは まずいため、原則としては「相互協議」という申し出を 行い、本件で行けば日本と米国の政府間でどっちの居住者と すべきかを判断してもらうことになる。 しかし、この「相互協議」は、「この条約の規定に適合しない課税を 受けたと認める者又は受けることになると認める者」でなければ 申し立てができないため、本件のように日本の国税の指導に 納得してしまうと、「適合しない課税を受けた」と認めない ことになるため、申し立てができないと考えられる。 となると、かなりの二重課税が発生したままとなるが、 早く税務調査が終わればいい、と思ったのだろうか。 よく、安易な妥協を行ったために、救済の余地がなくなる、 という税務調査のトラブルを耳にするが、本件は このような安易な妥協の産物でないことを願うばかりである。
税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中。
@yo_mazs
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