2015/04/27 9:53 AM NEWS

経済的合理性基準の見直し

高裁でもIBM事件は国の敗訴

ある意味ショッキングなニュースであるが、高裁でも
IBM事件は国が負けたようだ。地裁でも完膚なきに
まで叩きのめされているので、あらかた予想された結果、
といえばそうなのだが、税務雑誌によると、高裁判決では、
「経済的合理性基準」を否定する判断がなされている、と
指摘されている。

高裁判決を見ていないので、確たることは言えないが、
仮に税務雑誌の指摘どおりであれば、税制の大前提を
覆すものと整理できる。租税回避の否認に当たっては、
原則として「経済的合理性」が問われる、とされて
来たからだ。

包括的租税回避否認規定である、法人税法132条
を再度見てみよう。

税務署長は、次に掲げる法人に係る法人税につき更正又は
決定をする場合において、その法人の行為又は計算で、
これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる
結果となると認められるものがあるときは、その行為又は
計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その
法人に係る法人税の課税標準若しくは欠損金額又は
法人税の額を計算することができる。

「行為計算~を容認した場合」の解釈が不明確なので
問題になるのだが、節税をすべからく否認することは
到底許されないところ、行為計算に合理性がないか
どうかがファクターにならざるを得ない、と
考えられる。



 
租税回避は、節税(合法)と脱税(違法)の
中間にある、と言われる。もう少し言えば、
節税は法が予定していることであり、脱税は
法が禁止していることである。

法が予定していない税額軽減のうち、許せない
ものがあるからこそ、行為計算否認が必要に
なるのだが、そうだとすれば、脱法と評価しうる
異常な行為計算、がその対象となるだろう。

経済的合理性以外に、どうやって異常性を
判断するというのだろう?

高裁判決をしっかり読むこととしたいが、
経済的合理性以外に異常性を判断する
ファクターはないはずだ。



ABOUT ME

松嶋洋 税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中
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