2015/09/28 10:09 AM NEWS

送金確認書類は本人への送金

他の扶養親族への送金は対象外

平成27年度改正で、国外居住親族に係る扶養控除等の適用が
厳格化される(平成28年度以後の所得税)。扶養控除等は
特に添付書類もなく受けられていたため、目が届きにくい
国外居住の親族については、本当に扶養親族としていいのか
確認が難しいと指摘されていた。

このため、国外居住親族について扶養控除等を受ける場合には、
今後は親族関係書類(戸籍の附票の写しなど、親族関係を証する
書類)と送金関係書類(生計一を証するための送金書類)を
確定申告書に添付する必要があるとされた。

先般、この改正を受けての通達が公表されたが、税理士の中で
かなりの議論がされているのが下記である。

所得税基本通達120-8(送金関係書類の範囲)
~送金関係書類~は、同項の居住者がその年において国外居住親族の
生活費又は教育費に充てるための支払を、必要の都度、各人別に行った
ことを明らかにするものをいうのであるから、居住者が一の国外居住親族
に対して他の国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払を
行った場合における当該支払に係る送金関係書類については、他の
国外居住親族に係る送金関係書類には該当しないことに留意する。 

扶養親族本人に送金せよ、とあるため、例えば単身赴任で
日本で働いている外国人が、本国にいる妻子の生活費を
妻に一括で送金した場合、子への送金ではないため子の
扶養控除が認められないのではないか、と言われている。

反面、常識としては幼い子供に直接お金を渡すことは一般的ではない
から、そこまで厳密に考える必要はない、とする向きもある。


確たることは言えないが、個人的にはこういう通達も出てしまった
こと、そして本件が厳密に生計一を考慮すべきものである
ことを踏まえれば、直接渡したことを証明できなければ、
送金関係書類とは言えないと考えている。

何より、送金関係書類は添付書類であるため、
添付した内容で生計一であることが証明される
ようなものでなければならないだろう。

ただし、送金関係書類については、添付する必要があると
されているものの、添付がなかった場合の取扱いは
定められていない。現行の実務を踏まえると、添付が
なかったから、と言って即所得控除が否認されている
わけではなく、別途提出が要請されたり、調査で
明らかにしたりしていることが通例である。

となった場合、添付した送金関係書類が他の扶養親族分
も含めたものであったとしても、後日何らかの形で
その他の扶養親族の生活費に使われたと証明できれば、
国税も細かいことは言わないだろうから、できるだけ
本人に直接渡すよう努力し、どうしようもない場合には、
その理由を説明できるようにするとともに、生活費に
充てたことを証明できるよう、家計簿などを付けておく
ことで対応すべきと思われる。






ABOUT ME

松嶋洋 税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中
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