2015/09/24 9:41 AM NEWS

税理士法違反が増えている?

税理士懲戒、10年で3倍

先日の日経新聞によると、このような記事が掲載されている。
近年、名義貸しや脱税相談などの税理士法違反行為が
増え、税理士の懲戒処分が急増しているようだ。

背景には、税理士の競争激化があるとしている。
税理士登録者が増えているため、一線を越えざるを
得ない、といった状況が増えるという意味だろう。

見解の相違はあると思うが、このような状況を
招いている根本は、国税組織にあると個人的には
思っている。理由は二つ。OB税理士の存在と
税理士法違反に対する行政の甘さだ。

登録者が増えている理由は、OB税理士制度が
大きい。天下りのない国税職員に対する特権として、
国税はOB税理士を断固として廃止しない。

困ったことに、OB税理士は下記の理由により
税理士とは言い難い存在であることが極めて多い。

1 法律を読めない
2 申告書を書けない
3 会計を知らない

税理士法は、税理士の使命として、以下を
挙げる。

税理士法1条(税理士の使命)
税務に関する専門家として~申告納税制度の理念にそつて~租税に関する
法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。

税法も読めない、申告書も書けない、その前段階に当たる
会計も知らない人間に税理士が務まるわけがない。

しかし、特権は手放せないため、敢えて税理士の門戸を
広げる、免除制度を国税は広く設けている。ペーパーテストに
受からずとも税理士になれる道があれば、自ずと税理士は
増えてしまうのだ。

競争の激化が原因、というのであれば、ここをまず
固めればいいのだが、綱紀の徹底などという対処療法に
国税や税理士会は問題をすり替えている。

この対処療法も実は非常に生ぬるい。生ぬるすぎて、
守らない方が得をするのではないか、と思うほどだ。
税理士会は「実際に処罰するのは国税の問題」などと
して責任を投げ、国税は「税理士であれば、税理士会に
税理士法の解釈を聞くべきだ」などと、法律知識が
ないことを隠ぺいしようとしている。

実際のところ、税務調査のピンチヒッターをやった際、
お客様から申告書に署名している税理士とは会ったことがなく、
税理士名とは異なる名前の会計センターが対応している、という
話を聞いた。

これを聞いて、名義貸しと思わない者がどこにいるだろう。
おかしいためその調査を担当する調査官はもちろん、その
税理士の所轄税務署、国税局の税理士専門官、そして所属
税理士会に至るまで通報したのだが、税理士調査に行った
という話は全く耳にしていない。

「税理士調査をするかどうかは、我々の判断ですから」
などとのたまっている以上、綱紀の徹底などそもそもやる気が
ないのだろう。




ABOUT ME

松嶋洋 税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中
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