2015/10/17 9:30 AM NEWS

2年おいておけば無効になる?

自販機スキームの対策案は脆弱

平成22年度改正で、自販機スキームの対策がなされたが、
その対策案は非常に脆弱である。その理由は、二年おいておけば
規定が空振る、という信じがたい現実があるからだ。

消費税法9条(小規模事業者に係る納税義務の免除)7項
~第四項の規定による届出書(注:課税事業者選択届出書)を
提出した事業者は、同項に規定する翌課税期間(注:選択届出書の
効力が発生する期間)の初日から同日以後二年を経過する日までの
間に開始した各課税期間~中に国内において調整対象固定資産の
課税仕入れ~を行つた場合~には~第四項の規定の適用を受けること
をやめようとする旨を記載した届出書を提出することができない
(後略)

効力発生から二年内に課税仕入れした場合に適用、とあるため、
二年無稼働でおいておけば、自販機スキームは可能と結論
付けられる。これでは、意味がないと思うのだが、国税は
どう考えているのだろうか?

私も、この点よく質問を受けるが、慎重に対応した方が
いいのではないか、と回答している。裁判で勝つか負けるか
といった問題は置いておいて、国税としては極めて面白く
ないし、何より増税が既定路線の中、こんな税逃れが
できますよとなれば、国民に合わせる顔はないからだ。


強引横暴な事実認定をしてでも、何とかしてやると
国税は考えるであろう。消費税は行為計算否認規定が
ない反面、横暴な課税が容認される傾向がある、と
本ブログでも解説している。

困ったことに、某税務雑誌に、消費税の大家である
OB税理士も問題ないといった趣旨のコメントを
している。本当にそう思っているかは別にして、
安易な節税を助長することは間違いない。

国税に義理を感じる必要はないが、租税正義には
注意を払うべきだと思うが?

ところで、自販機スキームについては、その制度
設計の甘さについて、平成19年度の改正要望を
東京国税局に提出したことがある。当時はまだ
税務職員であったため、各税務署に、改正要望を
出すよう指示があったのだ。

指示があっても、ヒラの職員の話なんて聞いている
余裕がないと、東京国税局の中枢である法人課税課は
考えたのだろう。全部無視して結果平成22年度改正
まで改正が実現しなかった。

実現させるべき改正に必死にならず、実現した内容にも
抜け穴があるとなると、安易な節税を容認しますよ、
と言っているに等しい。

法律的にはOKでも租税正義から問題があるため
慎重にした方がいいですよ、と解説する
自分は時代遅れなのかも知れない。



ABOUT ME

松嶋洋 税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中
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