2015/12/07 9:54 AM NEWS

自己創設のれんの不思議

自己創設のれんを計上するか

古くて新しい論点の一つとして、よく言われる問題がこちら。
自己創設のれんとは、いわゆる営業権の話であるが、このような
営業権、有償取得でない限り認識することがないというのが
税務会計の常識である。

となれば、自己創設のれんなど普通は問題にならない。
これが問題になるのは、連結納税などの際に子会社の
時価評価が必要になるからである。

時価評価の対象となる資産に、固定資産は含まれる。
固定資産に営業権は含まれる。となれば、自己の超過収益力
である営業権を、連結に加入する際の時価評価として
認識すべきではないか、こんな議論がよくある。

この点、立案者や学者は認識することが大前提、
という言い方をすることが多く、国税も認識する必要が
あると説明している模様である。

http://www.lotus21.co.jp/data/news/1107/news110711_02.html

認識するならするできちんとしたルールを作って
くれればいいのだが、

評価も分からない
認識が前提ということを、国税庁のホームページなどで
唄わない

このため、どうすべきなのか、現場では非常に
困っているのである。



 
国税の考え方は、

課税すると回答する⇒評価はどうなるか新しい問題が
発生する
課税しないと回答する⇒税金取れるものを、手放してしまう
そもそも論⇒連結納税の法律などほとんどわからない

上記の通り整理することができる。簡単に言えば、
判断能力は原則ないし、断言すると後々困ることもあるため
断言したくはない、ということである。

法律に則って申告しなければならない納税者に対し、
法律に則って申告していなくても、「気づきませんでした」
として調査で見なかったことにする逃げ口上が使える
国税とは信じるべき常識が異なっている。

結果、切実な悩みを持つ納税者の前では
厳しい回答をせざるを得ないが、実務では柔軟に扱っている
というのが正直なところだろう。

自己の超過収益力がいくらか、こんなバリュエーションは
国税はもちろん、税理士や会計士でも基本的にはできない。
何らかの形で認識していればそれを基本は認めるだろうし、
認識していなかったとしても、立ち入りたくないので
見て見ぬふりをする、というのが実態と個人的には考えている。

あくまでも私見であるが、自己創設のれんを認識する
必要は個人的にはないと思っている。有償取得の営業権や
法的な権利がある場合の営業権は別にして、こういうものに
ついてまで課税しようというのは無理がある。

なぜなら、清算結了時には課税されないから。連結納税の
際の時価評価はフレッシュスタート的な意味があり、課税方式
が変わるので旧の課税方式を清算するために、時価評価が
必要になるからだ。

課税するなら、他の反対派の識者も言う通り、
評価のルールをきちんと定めるべきであろう。

こういう点、裁量行政以外の何物でもないと思っているが、
当の国税はそんな風には思っていないから話がややこしい。

いつまでたっても、わからないけどやっちゃえ、若しくは
分からないからやるべきではない、こんな結論のない
議論が繰り返されるのだ。





ABOUT ME

松嶋洋 税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中
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