2016/01/12 9:05 AM NEWS

更正も違法になる税務調査の要件

税務調査の違法性は承継されない

本ブログでも紹介したポイントであるが、違法な税務調査が
実施されても、その違法性をもって税務調査の結果として
なされる更正処分に反論することは原則としてできない。
税務調査と更正処分は別物、というのが法律の整理なので
ある。

このため、考えるべきポイントの一つが、税務調査における
国税職員の非礼などの問題を残したまま、税務調査を
終わってはいけないということだ。更正があれば、こんな非礼が
あったから不当な課税処分だ、ということはできない。

同様に、裁判や不服申立てで争うから、と安易に決定しても
行けない。税務調査の違法性は、更正処分の前であれば
国税職員も申し訳なさがあり、考慮してもらえる可能性が
ある。

ところで、税務雑誌の解説によると、以下の二つの要件
を満たす場合には、上記の例外が認められ、税務調査の
違法性をもって、更正処分の取消しを争うことが可能
と解説されている。

1 処分の基礎となる調査を全く欠く場合
2 調査を全く欠くに等しい証拠収集手続き

この要件は、先日の裁決で明確にされたものである。


平成27年5月26日裁決
通則法は、第24条の規定による更正処分、第25条《決定》の規定による決定処分、
第26条《再更正》の規定による再更正処分等について、いずれも「調査により」行う
旨規定しているから、課税処分が何らの調査なしに行われたような場合には、課税処分
の取消事由となるものと解される。そして、これには、調査を全く欠く場合のみならず、
課税処分の基礎となる証拠資料の収集手続(以下「証拠収集手続」という。)に重大な
違法があり、調査を全く欠くのに等しいとの評価を受ける場合も含まれるものと解され、
ここにいう重大な違法とは、証拠収集手続が刑罰法規に触れ、公序良俗に反し又は社会
通念上相当の限度を超えて濫用にわたるなどの場合をいうものと解するのが相当である。

調査が全くなく更正処分を行う、という事態は基本的には
想定できない。調査だからお尋ね文書レベル(行政指導)で
間違いを見つけて更正処分をするようなケースが当てはまる、
と言えそうだが、税額の検討をしていますので調査です、
と国税に開き直られるとまず勝てないと考えられる。

一方で、証拠収集手続きの重大な違法は行けそう。しかし、
これも厳しく、

刑罰法規にふれる
相当の限度を超えて濫用している

かどうかが問題になるということだ。

刑罰法規にふれる収集と言えば、泥棒的な話しかない。

無予告調査では、経理職員の目を盗んで、会社の資料
を見る、といったこともあるけれど、こういうものは
対象になるのでは、とも考えられる。

濫用というのは、なかなか難しい。税務調査はあくまでも
任意だから、承諾していないのに強制して収集した
資料とか、そういうものが対象になるのだろうか。


いずれにしても、ハードルは相当高い。税務雑誌では、
明確にされたことに意義があると解説されているが、
要件が厳しいことを明確にしたため、従来通り
税務調査で問題は残さないと心がけておくべきだろう。



ABOUT ME

松嶋洋 税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中
@yo_mazs

twitter


BOOKS/DVD

メールマガジン登録

都道府県

TWWET

LATEST POST

  • 無議決権株式=配当還元方式になる訳がない

    無議決権株式に転換すれば配当還元方式 何を血迷っているのか、このような質問を最近はよく受けるようになった。原則的評価 方式が適用される株式について、無議決権...
  • 佐川長官の何が問題か

    就任会見もしない国税庁長官 公の場に姿を見せない、佐川長官の問題がクローズアップされて長い。 報道レベルであるが、納税者の風当たりが強く、現場は悲鳴を上...

CATEGORY