2016/02/08 10:07 AM NEWS

理由附記と地方税

国税がぼろ負けの理由附記

近年、国税が理由附記で敗訴することが
非常に多いという印象がある。その典型例は、
朝日新聞にも掲載された、以下の事例だろう。
-------------------------
平成26年11月18日裁決(F0-3-398)
本件各更正通知書の「処分の理由」欄の記載からは、
本件相続開始日における債務弁済責任に基づく債務が
現に存しないと原処分庁が判断した理由が、例えば、
1本件合資会社に14億0181万6220円の債務
超過額が存しない、2本件被相続人が無限責任社員でない、
3本件合資会社の債務超過額はおよそ無限責任社員である
被相続人の債務ではない、4本件合資会社の債務超過額は
無限責任社員の債務ではあるものの、本件においては、
会社法第581条第1項に該当する社員の抗弁の事実があり、
無限責任社員の債務として認められるための要件を満たして
いない、5そもそも、会社法第580条第1項は、債務を
弁済する責任を規定しているにすぎないという法律的な見解を
前提として、会社債権者からの弁済請求を受けていない以上、
本件被相続人は本件債務弁済責任に基づく債務を何ら負って
いないなど、様々な可能性が考えられ、原処分庁による
処分の実際の理由が、これらのどれに当たるのか、あるいは
これら以外の理由なのか、不明であるといわざるを得ない。
-----------
いろいろ理由があって不明確だから取消し。
非常に稚拙な更正処分だったと痛感する。
理由附記は、平成23年度改正で平成25年より
行う処分について義務化されている。
理由附記がスタートする前から、
いたるところで述べていたが、
国税には理由附記を行う力がない
という純然たる事実がある。

ベストセラーとなった、下記の書籍でも、
理由附記ができないので調査に行きたくない、
といったという国税職員の話が掲載されている。

「タックス・オブザーバー
当局は税法を理解しているのか」
http://www.amazon.co.jp/dp/490084053X

こんなことなら、調査官を辞すべきだろう。
税金の無駄なので。

いずれにすても、今後も理由附記で国税がぼろ負け
するケースは多いはず。反面、納税者としては
理由附記で戦うことが有効な税務調査対策
になり得ることを押さえておくべきだ。

法解釈のグレーゾーン等は、国税が法律に
詳しくないこともあり、大いに有効な戦略に
なるだろう。

ここで注意点。国税の更正処分は理由附記が
義務化されているが、地方税の更正は義務化
されているとは限らない。
改正時、以下のようなコメントが
あった。
----------
現行制度上、地方団体の処分に関する手続については、地方
自治の尊重の立場から、行政手続法ではなく、各地方団体にお
ける行政手続条例で規定されている。
したがって、地方税に関する地方団体が行う処分に関する手続
については、全地方団体に同様の対応を一律に義務付けるの
ではなく 、各地方団体において適切に対応することができるよ
う、国税における取扱いについて情報提供を十分に行う。
http://www.cao.go.jp/zei-cho/history/2009-2012/etc/2010/__icsFiles/afieldfile/2010/12/10/221125houkoku.pdf
---------

地方税の理由附記は、条例によって対応すると
ある。

このため、地方税は条例を参照しなければ、
理由附記で争えるかどうかは判断できない。
なお、東京都は以下の通り難しい
と考えられる。
-----------------
東京都都税条例12の2(東京都行政手続条例の適用除外)1項
東京都行政手続条例(平成六年東京都条例第百四十二号)第三条
又は第四条に定めるもののほか、この条例に基づく処分その他公権力の
行使に当たる行為については、同条例第二章及び第三章の規定は、
適用しない。
--------

-------------
東京都行政手続条例第三章不利益処分
14条(不利益処分の理由の提示)1項
行政庁は、不利益処分をする場合には、その名あて人に対し、同時に、
当該不利益処分の理由を示さなければならない。ただし、当該理由を
示さないで処分をすべき差し迫った必要がある場合は、この限りでない。
------------
条例まで見切れないのが正直なところ。
納税者の権利保護を考えれば、条例対応など
けしからん、と個人的には考えている。



ABOUT ME

松嶋洋 税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中
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