2016/05/23 9:36 AM
NEWS
税務署から連絡がないのはなぜか?
調査が終わったのに連絡がない
調査件数が減っているなどと問題視しておきながら、全くもって 矛盾するのだが、実地調査が終わっても、調査結果の発表は非常に 遅いことが通例である。
以前立ち会った税務調査、実地調査がなされたのが8月末。 結果説明があったのが、12月中旬。 4月近く待たされているのに、指摘内容は従来と変わらず、
すいません、今日が締めなので 至急修正申告を準備してください
などと、税理士に言われても、会社に許可を取る必要もあるので、 到底無理な話。しかし、空気の読めない税務署の担当者は、 このような指導をすることが多い。
12月なので、まだ許せる話。 ひどいと、年明けに行われる税務調査については、異動時期である 7月の直前まで、連絡がないことも珍しくはない。 引継ぎはよほどのことがない限りやりたくないので、調査官ももう少し 頭を使って調査を終わらせるべき、と思うところ。
この点、実は私の現職時代(平成15~19年)からも、 結果の発表が遅いことは通例だった。現在ほどひどくはない、 というだけで。
連絡が遅くなる理由は
①反面調査などの補完的な税務調査を行っていること ②幹部職員との日程調整に戸惑っていること ③指摘事項を説得させる根拠に乏しいため先延ばししていること
の3点がある。
①については言うまでもない。会社で行った税務調査において、 何か不正の「端緒」を発見した場合
内容を解明するために取引先に反面調査を実施する 市役所などにお尋ね文書を発送する
このような補完的な税務調査(補完調査)を行っていれば、 処理に当然時間がかかってしまう。
従来、不正が見込まれるような場合を除き、反面調査はほとんど やらなかったが、理由附記の影響もあって、軽い間違いでも 反面することも多いため、日数は長くなりがちである。
②について。税務署内部では、増差所得や追徴税額に応じて、
重審(「重要事案審議会」)と呼ばれる署長や副署長などの幹部職員の決裁
が必要になることがある。 普通は統括官の決裁で方がつくのだが、優秀な調査事績を残した職員のお披露目 を兼ねてこういう報告会をやる。
重審には、幹部職員はもちろんのこと、審理担当や統括官も出席するため、
日程調整が大変になる
のだ。
さらに面倒臭いことに、この重審には、署長向けと副署長向けの 2つがあり、事績が大きい場合になされる署長向けとなると、
事前に副署長に事案を報告する(「予備重審」)
もやるのだ。 署長はいちばん偉い人だから、その前の偉い人である副署長に あらかじめ許可を得ておく、という名目でなされるわけだが、 もちろん
深い検討をするわけでもない、縦割りの弊害 であり、実地調査が終わっても徒に時間が経過して しまうことも多い。
もっとも多いのは③。 納税者や統括官を説得するに当たり、法律的にグレーな部分は、 税務署の書籍などを活用して調べなければならない。 しかし、この調べる作業は非常に面倒ですから、 後回しにすることがほとんどであり、調べたところで
(法律ではなく)書籍の著者の見解にすぎない
から、説得力がある話にはならない。
結果として、調査官の考えとしては、
もう少し時間をとれば、より有効な説得材料が浮かぶかもしれない
といった淡い期待も込めて、先延ばしにすることが 多々あるため、連絡は遅くなる。 本来なら、直属の上司である統括官が進捗管理を厳密に行うべき なのだが、調査官の仕事はほとんど個人プレイであり、
統括官も副署長等から尻を叩かれない限り、原則として 動かない
わけで、無意味な時間が税務調査には発生する。
税務調査の結果連絡が遅くなると、
何か重大な間違いがあるのでは?
と思われますが、重大な間違いであれば、
早く連絡が来る
ことが多い。 重大な間違いを見つけると、
調査官は鼻高々で早く決着して上司に褒められたい
と思うことが通例だからであり、何より、早く報告する ということは、
人事の目につきやすい
ことから、調査官にとってはうれしいことなのだ。
このため、連絡が遅くなってもそれほど 心配する必要はなく、のんびり構えておくと いいだろう。

@yo_mazs

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