2016/09/01 11:18 AM NEWS

持株会社スキームに国税が厳しくなった?

銀行提案の自社株提案の否認例が相次ぐ

産経新聞の記事にあったショッキングな内容。

http://www.sankei.com/west/news/160829/wst1608290009-n4.html

安易な節税を許さない、という強権的な課税が復活していると言える。
契機としては、ヤフー事件でビジネスリーズンがあっても否認できる、
という画期的な判断がなされたことが原因である。


個人的な意見を申し上げると、租税回避の否認に対しては、以下の
ポイントで見るのが最も納得できると考えている。

① その取引が、立案者が予測できなかったものか
② その取引を予測できるにしても、条文で書けないほど複雑なものか


①については、時代の変化などで見ればいいだろう。想定できないが
否認されるべき節税はあるのであり、こういうものを租税正義に照らして
否認するのがあるべき姿だ。

②については、細かすぎるものは条文に書けないので、取引が複雑かどうかで
見ればいいと思う。


①にしても②にしても、重要なのは法の趣旨と租税正義という常識であるが、
困るのはこの両方に関する知識が国税にないということだ。



法の趣旨も学ばないし、安易な節税がダメなことが租税正義と解釈しているため、
ビジネスリーズンといった理屈から否認しようとし、それで反論されれば
こんなものは関係ない、といった形で責任逃れをしようとするから
話が複雑になる。

あくまでも、法律を作る権限は国税が持っているのだから、国税に非があるため
税逃れが生じているか、そこが問われるべきだろう。

法を悪用して税逃れするのがダメなら、法律を改正すればいいだけの話。
それができていないのが、国税の責任か、はたまた納税者の責任か。
問われるのは、国税が悪用を予測できたか、予測できても法技術上
書けないので、包括否認でやるしかないと判断したのかそれだけである。


特に、株の評価については財産評価基本通達という欠陥通達が基礎に
なっているわけで、その欠陥通達を何とかまともなものにするのが
国税の役目だと思う。
 



ABOUT ME

松嶋洋 税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中
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