2016/09/20 10:04 AM NEWS

持株会社がまた否認

キーエンスの創業者の株式贈与の否認

持株会社方式の株価評価が否認される事例が最近多いと聞くが、
具体的に否認された事例が報道された。1500億円以上の申告漏れ、
ということでそれだけ評価額を小さく申告していた可能性もある。

あくまでも報道を見る限りだが、非上場会社に株を持たせ、
類似業種比準方式で評価したものの、株式の保有が大きいため、
類似は実態を反映していない。こんな課税だったと解される。

http://mainichi.jp/articles/20160917/k00/00e/040/295000c


おそらくは、総則6項で否認をしたと思われる。こうなると、
6項に注意と言われるが、その要件は極めてあいまいである。書いてあるのは、

財産評価基本通達6項(この通達の定めにより難い場合の評価)
この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、
国税庁長官の指示を受けて評価する。

とあるだけで、その解釈は以下とされている。なお、書いておくべき逐条解説
にはこれよりも短いコメントしかない。

東京地裁平成4年3月11日判決(Z188-6866)
画一的に評価通達に基づいてその不動産の価格を評価すべきものとすると~現実の交換価格
によつてその価額を評価した場合に比べて相続税の課税価格に著しい差を生じ、実質的な
租税負担の公平という観点からして看過し難い事態を招来することとなる場合があるもの
というべきであり、そのような場合には、評価通達によらないことが相当と認められる特別の
事情がある場合に該当するものとして~現実の交換価格によつて評価することが許される
とするのが相当である。

特別の事情が分からないから困るのだが、特別の事情が要件とされている。


いろいろと適用された事例はあるようだが、よくある例としては、
相続や贈与により取得した時期と近似した時期に取引があるケース。
この場合、評価通達ではなく、その取引金額が妥当だろ、という
課税処分が多くなされているようだ。

その一方で、以前あったトステムの事案では、監査法人に鑑定を
国税庁が依頼して、その金額で処分したようだ。監査法人のバリュエーションは
通達にそもそも依拠していないので、前提から間違っている気がして
ならないが。

http://blogos.com/article/100815/

こんな状況がまかり通るのはいかがなものかと思うが、所詮は
立法論の世界。法律や通達が悪い、といくら言っても、通達が
ある以上はそうせざるを得ませんよ(調査官)、立法判断や
行政判断にはタッチしたくありません(裁判所)と言って、
状況は一向に改善されないだろう。

残された方法は、OBを使った圧力か、若しくは出国税を
覚悟しての国外逃亡か。いずれにしても、租税法律主義を
逸脱したやり方で、決して望ましくはなく、ただただ
情けない結論であるが。




ABOUT ME

松嶋洋 税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中
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