2014/01/21 12:20 PM NEWS
解散と破産
解散と破産で事業年度が異なる
史上最低とうたわれる、平成18年度改正で非常に揉めたところ。 以前、この点の質問を受けたとき、揉めた当時の記憶がよみがえり、 危うく間違えそうになった。 この点、事業年度を法律的に整理してみよう。 法人税法13条(事業年度の意義)1項 この法律において「事業年度」とは、法人の財産及び損益の計算の単位 となる期間(以下この章において「会計期間」という。)で、法令で 定めるもの又は法人の定款、寄附行為、規則、規約その他これらに 準ずるもの(以下この章において「定款等」という。)に定めるものをいい、 法令又は定款等に会計期間の定めがない場合には、次項の規定により納税地の 所轄税務署長に届け出た会計期間又は第三項の規定により納税地の所轄税務署長が 指定した会計期間若しくは第四項に規定する期間をいう。ただし、これらの期間が 一年を超える場合は、当該期間をその開始の日以後一年ごとに区分した各期間 (最後に一年未満の期間を生じたときは、その一年未満の期間)をいう。 これが大原則だが、みなし事業年度という厄介な制度がある。 法人税法14条(みなし事業年度)1号 内国法人(連結子法人を除く。)が事業年度の中途において 解散(合併による解散を除く。)をした場合 その事業年度開始の日から解散の日までの期間及び解散の日の翌日から その事業年度終了の日までの期間 解散も破産も意味合いは同じだが、解釈が違う、という馬鹿げた取扱いに なっているのが我が国の税制のつたないところである。 解散すると、「清算事務年度」といわれるものが、会社法では成立する。 これが、みなし事業年度ではない、本来の事業年度となる、という 解釈を当局は持っている。 このため、先のみなし事業年度の条文は、清算事務年度が立つ場合、 意味をなさなくなるというのだ。法律学的に、このような意味の ない規定を、空振り規定というらしいが、私が知る限り、この ような整理をしている法学者を見たことがない。 困ったことに、破産では「清算事務年度」が立たない。 だから、みなし事業年度の条文が効力を有する、というわけ。 つまり、 解散⇒解散日から1年が事業年度 破産⇒解散日から従来の決算日までがみなし事業年度 となる。これは知らないと大問題になる。 論理的に見える整理だが、実質が変わらないものを別個に取り扱う わけで、馬鹿げた解釈と言わざるを得ない。 会社法に関係なく、税法で独自に取扱い決めていいのに、 何故こうなるのか? 「俺って会社法詳しいぜ!」みたいなノリで解釈している税務職員が 存在するからだろうね。
税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中。
@yo_mazs
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