2014/02/19 10:00 AM NEWS

損害賠償金の課税関係

何で賠償金に税金取られるの?

 
先般、某業界紙の編集者から受けた質問事項。以下の通り、
取材記事にしていただいたので、まずお礼を申し上げたい。

N-1-1
















東日本大震災の絡みでこの点、当局は大きな非難を受けた模様。
誤解してほしくないため申し上げるが、所得税法9条では原則論として
心身に与えられた損害賠償金等を非課税としている。

所得税法9条(非課税所得)
次に掲げる所得については、所得税を課さない。

十七  保険業法 (平成七年法律第百五号)第二条第四項
(定義)に規定する損害保険会社又は同条第九項 に規定する
外国損害保険会社等の締結した保険契約に基づき支払を受ける
保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含む。)で、
心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に
加えられた損害に基因して取得するものその他の政令で定めるもの

もちろん、課税される損害賠償金があるので非難されるが、
それは、

必要経費補てんの賠償金(所令30括弧書き)
事業所得や不動産所得などの収入金額補てんとしての賠償金(所令94)


これだけ聞いてもピンと来ないので、いろいろと文献を検索した
ところ、分かりやすい話があった。

簡単に言うと、

損害がなかったものと同視できるような状況

というのが損害賠償金の性格、ということ。心身に
与えられたものを補てんする賠償金に課税すると、税金分
損するので非課税となる、という理屈が成立する。

反面、収入金額補てんは、損害がなければ収入はたった
はず、収入があるなら税金はかかる、という理屈が
成立する。

その他、必要経費を補てんするものは、必要経費は
賠償金に関係なく経費になるから課税しないと
バランスが取れない。

感情論は別として、このような理論的整理ができる、
と考える。

とは言え、建前としてはこうなっても、損害の程度に
よっては何とかならないか、と思うのも人情ではある。
この点、震災特例法などの特例で面倒を見るのが法律の
役目であり、このあたりもう少し幅を広げてもよかったか、
と考えている。
 



ABOUT ME

松嶋洋 税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中
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