2014/03/03 10:59 AM NEWS

法人税のパラドックス

法人税を引き下げても税収は増える

 
法人税を引き下げると、経済成長を促して、結果現状よりも税収が増える。
これが法人税のパラドックスと言うもので、これが実現した国もある。
法人税率引下げが必要という識者は、これを論拠として主張している。

しかし、私見を申し上げると、わが国でこれが成立するかは大きな
疑問。法人税のパラドックスが成立するためには、それが経済成長を
促すものでなければならないが、わが国の政治の目は、法人税減税設備投資の増加にばかり向いている、と考えられるからだ。


法人税引下げは、経済成長の一要素でしかないのは誰もが
分かること。引き下げても国内消費が増えるとは限らない。

特に、巨額の財政赤字を抱えるわが国は、法人税を
引き下げても所得税や消費税は上げざるを得ない。となれば、
常識的に考えて、国内消費は増えないだろう。

このため、法人税を引き下げると一時的な企業誘致には
成功しても、長期的な経済成長が達成されるとは私には思えない。

誤解しないで欲しいのだが、国際的な観点から言えば、
法人税は下げざるを得ない、と私は考えている。しかし、
広くかつ長期的な視点で国民にその必要性を政治は説明し、
抜本的な財政改革を行う必要がある、と考える。

そうしなければ、国民には単なる企業優遇としか
写らないだろう。



ABOUT ME

松嶋洋 税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中
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