2014/04/11 9:51 AM NEWS

固定資産売却損益と法人税法

固定資産の売却はネットで計上する

 
会計学、というよりも簿記の基礎だ。この理由は、周知のとおり
重要性の原則から説明されている。売上という事業活動のメイン
数値とは異なるから、敢えてネットでいい、というわけ。

この点、法人税は会計学と同様で、違うところだけ
別段の定めがあると思うと混乱する。

というのも、別段の定めはないから大丈夫、と思っていると、
ネット計上でいいよ、とする原則規定も存在しないからだ。


法人税法の大原則22条の2項と3項を見てみる。

法人税法22条(各事業年度の所得の金額の計算)2項・3項

2  内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の
  益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、
  有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受け
  その他の取引で資本等取引以外のものに係る当該事業年度の収益の額とする。
3  内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に
  算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
  一 当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額 
  二  前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用
   (償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
  三  当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの


見てのとおり、益金の額損金の額もグロスでやれ、とされている。
この点、差額としての利益は同じだから、敢えて規定していないと言われる
わけだが、確定決算基準などというものがある以上、多少不安になる。

一つ言っておくことは、法律は建前としては不十分なことは書かず、
書いていない部分は解釈で補う、ということになっている。ネット処理
しようと、グロス処理しようと、所得金額にインパクトがないので
あれば、法人税法22条2項と3項には抵触しない、と考えるべきだろう。

もちろん、損金経理要件などというものがあれば別だが。




ABOUT ME

松嶋洋 税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中
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