2014/05/28 10:00 AM NEWS

競馬の払戻金は一時所得か?

外れ馬券が経費になるか?

 
全国的に大きな問題となっているこの裁判、高裁でも経費になる、
という判断がなされた。所論はいろいろあるだろうが、私は
地裁判決が出る前から、当局は何と馬鹿げた課税をしたのか、
とただただあきれていた。

この事件の本質は、競馬の払戻金が一時所得になるか否かに
ある。一時所得になれば経費にならず、事業所得や雑所得に
なれば経費になる、という仕組みが取られているのだ。

一時所得か事業所得等か、その判断は営利性や継続性等で
判断する、という取扱いになっているが、事案の概要を見れば
規模的にもビジネスであり、単発的なものでもない。となれば、
自ずと法律的な結論は下されることになる。

このような行政の愚行の背景には、通達という内部指示で
一時所得としてきたことがある。反省しようにも反省できない、
といったところだろうか。


ところで、仮に、競馬で1千回以上連戦連勝し、
はずれ馬券ゼロ、三億円儲かった納税者がいるとしよう。

この納税者が通達に従い、一時所得で申告するとどうなるか。
おそらく、当局は調査に来て、「継続性・営利性があるので
一時所得にはなりません」と言うに決まっている。というのも、
一時所得は2分の1課税という仕組みになっているからだ。

このような、儲かっており、当たり馬券のため経費の
否認も難しいケースは、たくさん税金をとりたいから、
一時所得だと面白くない。となれば、事業所得や雑所得でしょう、
という指導がなされるだろう。

税金を取るためだけに法律を捻じ曲げ、最終的には
(どちらかというと当局寄りの)司法で決着しよう。
そんな姿が見られることも、日本の税制のつたなさと
考える。



ABOUT ME

松嶋洋 税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中
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