2014/06/30 9:00 AM NEWS

1号所得は大丈夫か?

PE帰属所得の創設

 
国際課税原則の転換に伴い、帰属主義を明確化するために
新たに創設されたのがこのPE帰属所得。この規定、以下のような
定めとなっている。

所得税法161条(国内源泉所得)1項
一 非居住者が恒久的施設を通じて事業を行う場合において、当該
  恒久的施設が当該非居住者から独立して事業を行う事業者であると
  したならば、当該恒久的施設が果たす機能、当該恒久的施設において
  使用する資産、当該恒久的施設と当該非居住者の事業場等(当該
  非居住者の事業に係る事業場その他これに準ずるものとして政令で
  定めるものであつて当該恒久的施設以外のものをいう。次項及び次条
  第二項において同じ。)との間の内部取引その他の状況を勘案して、
  当該恒久的施設に帰せられるべき所得(当該恒久的施設の譲渡により
  生ずる所得を含む。)

ここでも恒久的施設という用語が使われているが、
それは先日の改正後の所得税法2①八の四で解釈されることになるだろう。
となった場合、国内法より租税条約でPEの範囲を広く取っていると
どうなるか、かなり興味深い。例えば、建設工事PEは国内法では1年と
なっているが、6月超の租税条約もあるだろう。

6月超一年未満の建設工事PEは、

国内法⇒非PE
租税条約⇒PE

となるが、この租税条約上のPEに帰属する事業所得は
どうなるだろうか?


租税条約では、日本に課税権が認められるが、国内法だと
非PEとなるので、課税できない気がする。先の所得税法162条
(租税条約に異なる定めがある場合の国内源泉所得)は、
一号所得を転換の対象外としている。

もちろん、恒久的施設の定義規定は政令に詳細を委任しているので、
確たることは言えないが、仮に私の想像通りだったら、と思うと
ゾッとする。

自分に読み落としや理解の誤りがあったら是非指摘して欲しい。
この点、すこし怖い。



ABOUT ME

松嶋洋 税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中
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