2014/07/25 10:39 AM NEWS

受取配当等益金不算入の改正案?

受取配当等益金不算入が大きく改正される?

諸事に追われており、久しぶりの更新で申し訳ない。
受取配当益金不算入制度であるが、今般の法人税引き下げに合わせ、改正されるという報道が
広く伝わっている。近年は、とりやすいところからとる、というご都合主義の税制の観点が大きいから、
おそらくこの方向性は実現するのだろう。
詳細はまだ不透明だが、税制調査会等は支配株主、利益目的の株主に区分けをはっきりする趣旨のもと、
全額益金算入の株式等の区分を設ける模様だ。一見すると相続税的な考え方を受取配当等益金不算入に
持ち込もうとしているわけで、私たち税理士からすれば概念整理をしやすい、と考えられる。

反面、このような整理学が、法人税で許されるか大いに疑問が残ることは言うまでもない。



受取配当等益金不算入は、法人に課税済所得からなされる配当に対し、「同一の所得に二重に課税をしない」
という目的で作られた制度と説明されている。このため、現行制度を含めて、本来的に受取配当金には課税しない、
というのが根本の考え方となるはず。
となれば、少数株主など関係なく、基本は100%益金不算入とすべきであり、運用目的であるとか、支配目的であるとか、
こんな話とは直接は関係ないという結論になるだろう。実際のところ、現行制度は益金不算入を前提に制度設計をし、
結果最低でも50%の益金不算入は保証されている。にもかかわらず、こんな理屈を持ち出すのはいかがなものか、
というのが改正案に対する私見である。

今回の改正が仮に実現するのであれば、従来とは異なり、受取配当金は原則益金算入となるはず。今までの法人税を否定するわけで、
仮にその目的が単に税収の確保ということであれば、法人税法ではなく租税特別措置法をいじってもらいたいものだ。



ABOUT ME

松嶋洋 税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中
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