2014/12/08 9:14 AM NEWS
些細な違いが大きな違い
「控除する」と「減算する」は違う
法令解釈の基礎と言えるところだが、「控除する」と「減算する」 という用語は税法上異なる意味を持つ。同じく差し引く、 という意味なのだが、この点下記の条文を読むとよく分かる。 法人税法22条(各事業年度の所得の金額の計算) 内国法人の各事業年度の所得の金額は、当該事業年度の益金の額から 当該事業年度の損金の額を控除した金額とする。 法人税法施行令8条(資本金等の額) 法第二条第十六号(定義)に規定する政令で定める金額は、同号に規定する法人の資本金の額又は出資金の額と、 当該事業年度前の各事業年度~の第一号から第十二号までに掲げる金額の合計額から当該法人の過去事業年度の 第十三号から第十九号までに掲げる金額の合計額を減算した金額~に、当該法人の当該事業年度開始の日以後の 第一号から第十二号までに掲げる金額を加算し、これから当該法人の同日以後の第十三号から第十九号までに 掲げる金額を減算した金額との合計額とする。 所得金額は控除する、資本金等の額は減算する、という 用語を使い分けていることが分かる。耳にしたことがある方も 多いと思うが、平成13年度改正を経てマイナスの資本金等の額 (当時は資本積立金額)という概念が生まれたことがこの用語の 使い方に表れているのだ。
控除する⇒マイナスはなく、下限はゼロ 減算する⇒マイナスを含む 同じ差し引くという意味であっても、 上記の意味の違いがある。 所得金額の場合、マイナスになると どうなるか。言うまでもなく、欠損金額と 名称が変わることになる。 法人税法2条(定義)十九号 欠損金額 各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の 損金の額が当該事業年度の益金の額を超える場合における その超える部分の金額をいう。 所得金額と欠損金額、計算方法は同じでも 用語は分ける必要があるので、敢えて所得金額の 計算は「控除する」としているのである。 このあたり、どうでもいいと思う人が 多いと思うが、実際のところ正確に理解して 置かないと痛い目に合うことも多い。
税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中。
@yo_mazs
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