2015/01/19 12:17 PM NEWS

電子商取引の課税について思うこと

BtoC取引の消費税は課税仕入れ不可

 
周知のとおり、来年度改正により電子商取引の消費税が改正され、
外国企業であれば消費税がかからない、というおかしな実務が
改正される。本改正について所論はあるが、気になるのは
上記の取扱いである。

本取扱いは、当分の間の措置とされているが、それでも
一見して頭がおかしくなったのでは、と思う文言。というのも、
事業者でなければ仕入税額控除はそもそもできないわけで、こんな
文言はいらない、という理論が成り立つだろう。

理屈がうまくつながらない法律が見られるのは、日本の消費税制に
大きな欠陥があるからである。



消費税法2条(定義)1項12号
課税仕入れ 事業者が、事業として他の者から資産を譲り受け、若しくは借り受け、又は役務の提供
~を受けること(当該他の者が事業として当該資産を譲り渡し、若しくは貸し付け、又は当該役務の
提供をしたとした場合に課税資産の譲渡等に該当することとなるもので、第七条第一項各号に掲げる
資産の譲渡等に該当するもの及び第八条第一項その他の法律又は条約の規定により消費税が
免除されるもの以外のものに限る。)をいう。


仕入税額控除にかかる用語の意義であるが、この条文のカッコ書きは
非常に問題が大きいと言われている。というのも「他の者」を事業者に限定していないため、
免税事業者から仕入をしても、課税仕入れができるのである。

この点、インボイスを設けなかった我が国の制度上の問題があるのだが、
今回のBtoC取引も、実は同じような割り切りで作られている。

具体的には、契約等で相手が事業者であると明らかなものがBtoB取引で
あり、それ以外がBtoCになる、としているのである。となれば、事業者が
相手でもBtoC取引になりえるわけで、そうなると課税仕入れされて困るから、
上記のような当分の間の措置を設けているのである。

政策的に許されるかもしれないが、理論的には許されない。
この点、早急に措置すべきインボイスの導入を後回しにし続けたツケが
大きすぎる、と評価すべきなのだ。

税法の立案を行った、私の師匠がよく言っていたこと。

スタートが誤った法律の立案は、その誤ったスタートをごまかすため、
更に訳の分からない条文を入れて税法をどんどん複雑にする

嘘で塗り固めた現実の条文を何とかしない限り、
税制の簡素化は夢のまた夢、ということなのだろう。



ABOUT ME

松嶋洋 税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中
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