2015/04/13 9:27 AM NEWS

相続させる旨の遺言

遺産分割協議なく遺産を取得

相続は専門外のため、なかなか理解できないが、
特定の遺産を特定の相続人に相続させることを
明らかにした遺言がある模様。これが、「相続させる旨の
遺言」と言われるもの。

相続させる旨の遺言をすると、未分割という状況は
なく、相続開始日においてその遺産を指定された
相続人が取得することになる。結果として、
未分割ではなく、分割があったという課税関係に
なるようだ。

未分割の場合、小規模宅地等の特例など
所定の措置は適用対象外となるが、この遺言が
あると未分割にはならないため、適用が認められる、
という整理になる。これだけ聞くと、非常に都合が
いいように聞こえるが、相続には遺留分が
ついて回るため、そう簡単な話ではない。



先日発売の税務雑誌を見ると、下記のような
事例があったようだ。

① 相続させる旨の遺言で特定の土地を取得
② 他の相続人がそれを不服とし、遺言の無効確認
  訴訟を提起
③ 小規模宅地等の要件として、相続人全員の同意書が
  必要になる(措令40の2⑤三)が、②の相続人は
  同意しないため、同意書を添付しなかった
④ 申告要件等に不備があるため、小規模宅地等の
  特例が否認

本裁決では、他の相続人は納得しない、でも未分割
にもならないとなると、救済余地はないと断じている。
非常に酷な裁決といえるだろう。

法人税を専門としている身からすると、相続税は
分かりづらい点が多い。その理由は、民法を前提と
しすぎているからである。

法人税法は、会社法等を前提としているものの、
会社法等によりすぎず、税独自のルールも
多数設けている。このため、関係法の専門家ではない
税理士であっても、解釈はやりやすい。

一方で、民法を前提とする相続税においては、
民法を相当に理解していないと解釈誤りが起こる。
困ったことに、民法と税法の目的は全く違うので、
民法を理解していたとしても、税務的には
納得いかない結論が導かれることも多い。

相続税法は、昭和25年の改正法を前提に作られている。
昭和25年から抜本改正がない、となると時代錯誤も
甚だしいわけで、このあたりグランドデザインの見直し
も必要と思われる。



ABOUT ME

松嶋洋 税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中
@yo_mazs

twitter


BOOKS/DVD

メールマガジン登録

都道府県

TWWET

LATEST POST

  • 「概ね」1年以内なので、1年でいいはずがない

    「概ね」1年以内に取り壊せば取得価額に入れない ため、1年おけば除却損で落ちるなんて短絡的な結論になる訳ない。 これって、税理士が提案したのかな? ...
  • 社会保険料と非常勤役員

    税も仕組みは酷い ですが、それをはるかに超える酷さが社会保険。 実質判断もなされるため、最終的には‪ケースバイケースの 判断になりますが、こういう...

CATEGORY