カテゴリーアーカイブ : NEWS

2015/04/13 9:27 AM NEWS

相続させる旨の遺言

遺産分割協議なく遺産を取得

相続は専門外のため、なかなか理解できないが、
特定の遺産を特定の相続人に相続させることを
明らかにした遺言がある模様。これが、「相続させる旨の
遺言」と言われるもの。

相続させる旨の遺言をすると、未分割という状況は
なく、相続開始日においてその遺産を指定された
相続人が取得することになる。結果として、
未分割ではなく、分割があったという課税関係に
なるようだ。

未分割の場合、小規模宅地等の特例など
所定の措置は適用対象外となるが、この遺言が
あると未分割にはならないため、適用が認められる、
という整理になる。これだけ聞くと、非常に都合が
いいように聞こえるが、相続には遺留分が
ついて回るため、そう簡単な話ではない。


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2015/04/06 10:04 AM NEWS

国外財産調書不提出

国外財産申告せず 加算税を初適用

日経新聞の記事によると、件の国外財産調書制度について、
初めて加算税の加重処分がなされた模様。

インサイダー被告、国外財産申告せず 加算税を初適用

所得税については、加算税が加重され、結果として
過少申告加算税が15%賦課された模様。

国外財産調書について、厳しい行政指導がなされている
のは周知のとおり。国外財産に対する相続税の
適正課税、という本丸があるため、国税としては
早期に実績を作りたい、という思いがあっただろう。
怖さのアピールとしては十分な事案、と考えられる。

平成25年分の申告に対しては、5千件超の国外
財産調書の提出があった、と言われるが、まだまだ
少ないと指摘されているようだ。5千万円超の
国外財産を持っている居住者がどのくらいか、
見当がつかないので確たることは言えないが、
国外財産調書の対策は、ひとえに不正をしない、
すなわち申告するということに尽きる。

申告さえしていれば怖いものがないわけで、
対策のノウハウはない。この点、
国外財産調書の対策セミナー、などと
いったものもあるが、正直に申し上げて
基本意味はない。書き方など、税務署や
税理士に聞けば教えてもらえるからだ。

申告しない納税者がいるとすれば、
ナンセンスこの上ない話だ。
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2015/03/30 11:45 AM NEWS

更正の申出の真実

更正の申出は補完ではない

確定申告期、過去の修正が必要になったため、更正の
申出を検討していたが、国税庁のホームページを見て
愕然となった。

税額を減少させるなど、納税者有利に申告内容を
変更する手続きが更正の請求であるが、平成23年度
改正により。その期間が1年から5年に延長された
のは周知のとおり。この改正は、平成23年12月2日
以後に申告期限が到来する租税に適用される。

この点、改正のインパクトが大きいこともあり、
本改正が適用される前の租税(すなわち、平成23年
12月1日以前申告期限到来分)についても、
更正の申出が認められている。納税者の権利ではない
ものの、温情として認めてあげる、という意味から、
「請求」ではなく、「申出」としているのである。

このため、古い年分のものでも更正の申出で
認めてもらえるな、と考えていたが、先の
ホームページでは、「純損失等の金額が少なかった方」
についてのみ、更正の申出ができるとある。
となれば、還付のために更正の申出は使えない、
という結論になると読めるのだ。

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2015/03/23 12:31 PM NEWS

貸倒損失と税務調査

国税の都合のいい制度設計

立案者が意図したかどうかは分からないが、そう考えざるを
得ないのが貸倒損失の税務だ。貸倒損失は、「客観的に
みて回収できない」ことが明らかでない限り損には落ちないが、
この取扱いは往々にして国税に都合のいい結論になる。

まず、根拠条文。法律では、これしかない。

法人税法22条(各事業年度の所得の金額の計算)3項
内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の
損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、
次に掲げる額とする。
一・二 省略
三 当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの

損失の額が損金になることは異論がないが、この損失は
債務確定したものでなければならないとされている。債務確定
する、すなわちお金が出て行くことが確実でなければならない
わけで、そうなると「客観的に回収不能が明らか」でない
限り、損には落ちないわけだ。

客観的に回収不能が明らか、などというが、その判断は
千差万別。このため、多くの会社は、会社更生法等で
法律上切り捨てられない限り、損に落とさない、という
対応になる。

ここで重要なことは、債務確定するタイミングは
複数は存在しない、ということだ。
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2015/03/16 1:15 PM NEWS

外れ馬券の経費性

最高裁でも外れ馬券は経費

分かっていたことだが、先日最高裁でも外れ馬券は
経費と認められたというニュースが報道された。地裁判決が
出る前から、常識的な法解釈ができない行政の愚行に唖然と
したわけだが、この「常識」が守られたこと、税に
携わる身からして非常に喜ばしく思う。

今回の判決を受けて、国税は下記のようなコメントを
残している模様。

「国税庁の見解と異なる判断が示された点は謙虚に受け止め、
適正な課税に努めたい」

国税庁の見解などとのたまうが、法律を読めない国税職員に
そんな見解などない。単に、例示列挙に過ぎない通達を
そのまま当てはめただけの、小学生並みの理屈が課税の
背景にあるのだ。

実態に応じた課税を、事業の実態によっては雑所得が
事業所得にもなる、という中、安易な理屈で課税した国税
組織の責任は重く、最高裁判決まで反省しなかったことは
異常である。本来なら、関係者の処分なども必要に
なるだろう。

謙虚に受け止めるのであれば、一人ひとりの職員が
法律をしっかりと理解するよう、所定の措置をとるべきだ。

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2015/03/09 2:48 PM NEWS

申告書確認表

申告書確認表を公開

 
本日発売の税務雑誌にこんな記事が公開されていた。税務調査手続き
法制化の影響で、思うような税務調査ができない国税が、コーポレート
ガバナンスの高い企業の税務調査を控えるという施策を打ち出した
影響で、そのガバナンスを図る一つの資料としてこのようなものを
3月中に提示する見込みの模様。

このような施策を税務CGなどと呼んでいるが、昨年初めから
このような取り組みを行うと明言してきたにもかかわらず、
特段の実績が公開されていない。国税にいた人間からすれば
よく分かるのだが、掛け声だけは立派で実がついてこない、
というのが正直なところだろう。

こういうわけで、目に見える実績になりそうな申告書確認表。
どうやら、チェックリスト形式のようで、納税者のケアレスミス
を防ぐような記載ぶりになっているようだ。国税はチェックリスト
好きなので、こんな対応で税務CGの進捗を図ろうとしている、
と期待したのだが、なぜか申告書にこのようなチェックリストを
添付を求めない、と整理されるようだ。


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2015/03/02 9:42 AM NEWS

財産債務調書は要件加重

財産債務明細書が財産債務調書に

 
平成27年度改正の重要項目であるが、財産債務明細書が調書化される。
明細書は参考資料だが、調書は課税の公平を担保するためのもので
あり、重さは全く異なる。

この点、改正の趣旨として、明細書だと提出の実効性がないことが
挙げられている。国外財産調書のように、加算税のインセンティブ等を
設けて、課税逃れをブロックすることを後押ししよう、という
ことになったのだ。

先般出された改正法の要綱案を見ると、この点
下記の記述がある。

所得税の確定申告書を提出すべき者は、その年分の総所得金額及び山林所
得金額の合計額が 2,000 万円を超え、かつ、その年の 12 月 31 日においてその
価額の合計額が3億円以上の財産又は1億円以上の国外転出特例対象財産を有
する場合には、その財産の種類、数量及び価額並びに債務の金額その他必要な
事項を記載した調書(以下「財産債務調書」という。)を、翌年の3月 15 日ま- 39 -
でに、所轄税務署長に提出しなければならない。

注目いただきたいのは、「2000万円を超え、かつ」という仕組み。
この点、おかしいと思うのは私だけではないと考える。



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2015/02/23 1:21 PM NEWS

役員報酬の国内源泉性

役員報酬は会社の所在地で

国内源泉所得該当性を判断する

こういう理解をしていたのだが、それが誤っていたようだ。
下記のような定めが、所得税においてなされている。
所得税法161状(国内源泉所得)
この編において「国内源泉所得」とは、次に掲げるものをいう
八  次に掲げる給与、報酬又は年金
イ 俸給、給料、賃金、歳費、賞与又はこれらの性質を有する給与
その他人的役務の提供に対する報酬のうち、国内において行う勤務
その他の人的役務の提供(内国法人の役員として国外において行う
勤務その他の政令で定める人的役務の提供を含む。)に基因するもの
所得税法施行令285(国内に源泉がある給与、報酬又は年金の範囲)
法第百六十一条第八号イ(国内源泉所得)に規定する政令で定める
人的役務の提供は、次に掲げる勤務その他の人的役務の提供とする。
一 内国法人の役員としての勤務で国外において行なうもの(当該
役員としての勤務を行なう者が同時にその内国法人の使用人として
常時勤務を行なう場合の当該役員としての勤務を除く。)

非居住者が内国法人の役員である場合にもらう報酬は、国内源泉所得
だから、上記のような誤解をしていたわけだが、役務提供地を問わず、
内国法人の役員の役員報酬については国内源泉所得に含む、とする
特則であるところ、国内において行う役務提供に加えて、という
意味だから、外国法人の役員が国内で役務提供を行っても、それは
国内源泉所得になる、と結論付けられるだろう。
この点、租税条約を見るとよくわかる。
日米租税条約14条
次条、第十七条及び第十八条の規定が適用される場合を除くほか、一方の
締約国の居住者がその勤務について取得する給料、賃金その他これらに
類する報酬に対しては、勤務が他方の締約国内において行われない限り、
当該一方の締約国においてのみ租税を課することができる。勤務が
他方の締約国内において行われる場合には、当該勤務から生ずる
報酬に対しては、当該他方の締約国において租税を課することができる。
日米租税条約15条
一方の締約国の居住者が他方の締約国の居住者である法人の役員の資格で
取得する役員報酬その他これ類する支払金に対しては、当該他方の
締約国において租税を課することができる。

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2015/02/16 10:02 AM NEWS

住所判定という不思議

日本に住所があるとして居住者認定

 
連日報道されるこのニュース。先も、スリーボンドの元会長が
居住者認定され、20億円超の申告漏れを指摘されたとのこと。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG04HB5_U5A200C1CC1000/

本件では、近年は都内の高級ホテルに滞在し、日本での滞在日数が
海外での滞在日数を大きく上回っていたところ、日本に一年の半分
いたから日本居住者、と認定したとあるが、それだけで住所が日本に
あるというわけではなく、いわゆる総合勘案の話になる。

総合勘案、というとよくわからないので、税務当局といわゆる
見解の相違が起こるわけだが、本件は「申告と納付を済ませた」
とあるから、期限後申告の提出の慫慂に応じた、ということに
なる。

この元会長は居住地だとする米国などで申告・納税していたと
あるが、これは米国居住者として申告していた、ということだろう。
となった場合、この期限後申告により元会長は二重居住者になる、
と想定される。

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2015/02/02 1:17 PM NEWS

明確にされない取扱いと税務

ポイント制度の消費税

以前勤めていた税理士事務所でも問題になったが、
マイレージなど、いわゆるポイント制度に係る
消費税の取扱いが問題になることが非常に多い。
その取扱いが非常に不明確だからだ。

マイレージなどのポイントが経済活動に
与える影響は非常に大きい。にもかかわらず、
国税はその取扱いを明確にしない。いや、
明確にできないというべきだろう。

このようなケースにつき、どう考えるか。
非常に問題になることだが、ひとつ言える
ことは、その不利益は国が負うべきもの、
ということである。

本件と似た話で、構成員課税されるLLCの
外国税額控除がある。平成21年度改正前、
海外に子会社単位で進出する場合、子会社が
負担する外国法人税は、間接外国税額控除という
仕組みで負担することになっていた。

LLCは法人なので、理論的には間接外国税額控除
になるのだが、構成員課税されると、子会社ではなく
自社で外国法人税を納税する。そうなると、子会社が
負担する外国法人税はゼロになり、間接外国税額控除
はゼロとなる。

このため、直接外国税額控除でいけるか、と思われる
かもしれないが、アメリカで構成員課税される所得は、
日本ではLLCから配当を受けるまで課税されないため、
二重課税とならない。つまり、外国税額控除
を前倒しに受ける、という結論になるわけで、当然ながら
国税は認めないのでは、という疑義が生じていた。


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ABOUT ME

松嶋洋 税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中
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