カテゴリーアーカイブ : NEWS

2014/04/23 10:00 AM NEWS

手先から変わるか、審判所

不服審判所は当局の手先

 
ご存知の方も多いと思うが、当局の課税処分に不服があると、
不服審判所審査請求ができる。この審査請求、私の現職時代
などは単なる通過儀礼、と揶揄されたものだ。

本来なら、国税組織とは独立して裁決をしなければならないが、
基本的に国税組織と矛盾した裁決をすることはできない。
理由は簡単。人事を当局が握っているからだ。

人事はサラリーマンにとっての最大の関心事であるところ、
その人事を行う当局に不利な裁決など出せるわけがない。
一点、付言すると、私のように当局に楯突く人間は、そく
左遷するのが国税の職場なのだ。

この点、非常に多くの批判があり、結果として
民間採用の審判官が増えた。彼らの力が大きいのだろう、
最近は納税者を勝たせる裁決も多くなったと言う印象がある。

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2014/04/22 10:00 AM NEWS

移転価格文書化が改正

移転価格文書化が改正

 
先日、こんな記事を読んだ。OECDが件のBEPS問題の解決策として
掲げている話で、今までは自国法人に係る文書化だったので、
自国法人の直接取引については確認できたが、
今後はそれだけでは足りず、多国籍企業の全体像を
掴むような文書化を求める、という趣旨である模様。

記事をいくら読んでも詳細が分からないのだが、
多国籍企業の利益配分がBEPSの問題の一つである以上、
こういう方策も正しいのかな、と思う。しかし、
企業からは事務負担増がすごいと言うことで大反発
の模様。

情報漏えいの問題等、法制化にはまだまだ先が
長いように思うが、このような方向性を個人的には
評価したい。

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2014/04/21 10:00 AM NEWS

電子商取引の方向性

海外事業主の電商取引は不課税

 
消費税の大きな不公平と言われるポイントにつき、平成27年度改正の
実現に向けて、政府はようやく重い腰を挙げた模様。

①BtoB取引⇒ 国内事業者が納税(リバースチャージ方式)
②BtoC取引⇒ 国外事業者が納税(国外事業者申告納税方式)

①については、国外取引は税抜で行い、国内事業者が消費税を
税務署に納める方法。②は、国外事業者が納税管理人なんかを置いて、
その事業者が税込で販売し、そのまま納税する方法だ。

パッと見、違和感が生ずるのは②だろう。普通の考えとして、
国外事業者が申告するわけがない、と思うのだ。

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2014/04/18 10:10 AM NEWS

所轄違いで違法になる?

所轄が違うと第二次納税義務に係る

納付告知処分は違法

 
先般、こんな裁決事例が報道された。本件、滞納者が住民票を引越し先に移しておらず、
住民票所在地で確定申告を行っていたのであるが、住民票所在地を所轄する税務署長が
行った第二次納税義務者の納付告知処分について判断されたもの。

周知のとおり、所轄税務署は、納税者(滞納者)の住所地で決定されるのが
大原則。ただし、住所は実質判定することになるので、このような事例が生ずるので
ある。

この点、請求人は過去の電気使用量などから、生活の本拠が
住民票所在地になかったことを証明した模様。結果、第二次
納税義務者の納付告知処分が全部取り消されたようだ。

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2014/04/17 10:05 AM NEWS

負担付贈与の課税関係

負担付贈与は譲渡所得と贈与税課税

 
負担付贈与も贈与である以上、贈与税の対象にはなるが、それと同時に
贈与も譲渡に含まれるため、譲渡所得の対象にもなる、という結論になる。
贈与者は贈与の見返りに負担がなくなるので対価を得て行った資産の譲渡となり、
受贈者は譲り受けた財産から承継した負担部分を控除した残額に対し、
贈与税が課せられることになる。

負担付贈与はこのように、整理しやすい課税関係となっているものの、
少し混乱するのが負担付贈与があった場合の贈与税の財産評価。負担付贈与の
場合、例えば以下の通り、通常の財産評価とは異なる評価を行うことがある。

財産評価基本通達169(上場株式の評価) 
上場株式の評価は、次に掲げる区分に従い、それぞれ次に掲げる
ところによる。

(1) (2)に該当しない上場株式の価額は、その株式が上場されている
金融商品取引所(国内の2以上の金融商品取引所に上場されている株式については、
納税義務者が選択した金融商品取引所とする。(2)において同じ。)の公表する
課税時期の最終価格によって評価する。ただし、その最終価格が課税時期の
属する月以前3か月間の毎日の最終価格の各月ごとの平均額(以下「最終価格の月平均額」という。)
のうち最も低い価額を超える場合には、その最も低い価額によって評価する。

(2) 負担付贈与又は個人間の対価を伴う取引により取得した上場株式の価額は、
その株式が上場されている金融商品取引所の公表する課税時期の最終価格によって評価する。

簡単に言えば、負担付贈与の場合には原則アローアンスがない、ということである。

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2014/04/16 10:00 AM NEWS

調査不適切事例?その2

税理士より先に連絡して苦情に発展

 
こんなことがあったらしい。経営者となるべく連絡を取ってほしくない、
税理士としては当たり前の感覚だが、現行法上、どちらから先に連絡を
とるか、これに関して規定はない。
国税通則法74の9(納税義務者に対する調査の事前通知等)1項
税務署長等(国税庁長官、国税局長若しくは税務署長又は税関長をいう。
以下第七十四条の十一(調査の終了の際の手続)までにおいて同じ。)は、
国税庁等又は税関の当該職員(以下同条までにおいて「当該職員」という。)
に納税義務者に対し実地の調査(税関の当該職員が行う調査にあつては、
消費税等の課税物件の保税地域からの引取り後に行うものに限る。以下
同条までにおいて同じ。)において第七十四条の二から第七十四条の六まで
(当該職員の質問検査権)の規定による質問、検査又は提示若しくは
提出の要求(以下「質問検査等」という。)を行わせる場合には、あらかじめ、
当該納税義務者(当該納税義務者について税務代理人がある場合には、
当該税務代理人を含む。)に対し、その旨及び次に掲げる事項を
通知するものとする。

納税義務者(税務代理人を含む。)だから、順番は関係なく、どっちから
先にしても問題ないだろう、というわけだ。

こういわれると、反論は難しいが、近年の弱腰の調査官は、法律があるにも
かかわらず苦情を受けて調査を見送ったらしい。言語道断の不適切事例だろう。

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2014/04/15 10:00 AM NEWS

調査不適切事例?その1

法制化後の不適切事例の対応検討

 
T&A Masterを読み直していて、当局が法制化の不適切事例の
対応を指示している、という記事があった。

平成26年7月1日以後は改正されるものの、やはり多いのは
事前通知だ。

事前通知の不適切事例として、挙げられているのが二点。

① 経営者に連絡を取りづらかったため、税理士に全権委任したもの
② 税理士の前に経営者に連絡を取ったため、税理士から苦情を受け、
  調査を中止したもの

この点、法律的に考えてみたい。今日は①の事例について。

現行法上、当局は、「調査の実施」については必ず納税者に連絡を
回すこととしている。この根拠法は、国税通則法74条の9(納税義務者
に対する調査の事前通知等)である。

国税通則法74の9(納税義務者に対する調査の事前通知等)1項
税務署長等(国税庁長官、国税局長若しくは税務署長又は税関長をいう。
以下第七十四条の十一(調査の終了の際の手続)までにおいて同じ。)は、
国税庁等又は税関の当該職員(以下同条までにおいて「当該職員」という。)
に納税義務者に対し実地の調査(税関の当該職員が行う調査にあつては、
消費税等の課税物件の保税地域からの引取り後に行うものに限る。
以下同条までにおいて同じ。)において第七十四条の二から第七十四条の六
まで(当該職員の質問検査権)の規定による質問、検査又は提示若しくは
提出の要求(以下「質問検査等」という。)を行わせる場合には、あらかじめ、
当該納税義務者(当該納税義務者について税務代理人がある場合には、
当該税務代理人を含む。)に対し、その旨及び次に掲げる事項を
通知するものとする。

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2014/04/14 10:03 AM NEWS

減価償却費と法人税法

固定資産売却の際、売却時までは

償却費を計上する

前回に引き続き、これも簿記の常識的なところ。会計学においては、
適正な科目に基づいた損益計算が必要であるため、利益としては
変わらない場合でも、固定資産売却損益と減価償却費はこのような
形で分けましょう、とされている。

ここで問題になるのは、法人税の取扱い。

法人税法31条(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)1項

内国法人の各事業年度終了の時において有する減価償却資産につきその
償却費として第二十二条第三項(各事業年度の損金の額に算入する金額)の
規定により当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入する金額は、
その内国法人が当該事業年度においてその償却費として損金経理をした金額
(以下この条において「損金経理額」という。)のうち、その取得をした日
及びその種類の区分に応じ、償却費が毎年同一となる償却の方法、償却費が
毎年一定の割合で逓減する償却の方法その他の政令で定める償却の
方法の中からその内国法人が当該資産について選定した償却の方法
(償却の方法を選定しなかつた場合には、償却の方法のうち政令で定める方法)に
基づき政令で定めるところにより計算した金額(次項において「償却限度額」という。)
に達するまでの金額とする。

注目いただきたいのは、事業年度終了の日において有する減価償却資産に
対して減価償却費が計上できる、という点。このため、先の事例では
減価償却費を計上するのは誤りで、売却に係る原価(法法22③一)として、
認識することになるのだ。

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2014/04/11 9:51 AM NEWS

固定資産売却損益と法人税法

固定資産の売却はネットで計上する

 
会計学、というよりも簿記の基礎だ。この理由は、周知のとおり
重要性の原則から説明されている。売上という事業活動のメイン
数値とは異なるから、敢えてネットでいい、というわけ。

この点、法人税は会計学と同様で、違うところだけ
別段の定めがあると思うと混乱する。

というのも、別段の定めはないから大丈夫、と思っていると、
ネット計上でいいよ、とする原則規定も存在しないからだ。

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2014/04/10 10:00 AM NEWS

消費税の課税標準

消費税は原則時価課税なし

 
昨日のブログで誤解があってはいけないので指摘するが、
消費税はみなし譲渡ないし低廉譲渡と言われる取扱いを
除き、原則として時価課税はない。

あくまでも「対価として収受すべき」金額が問題になるのだ。
この点から問題になるのは、条文の書き方。
消費税法28条(課税標準)1項
課税資産の譲渡等に係る消費税の課税標準は、課税資産の譲渡等の
対価の額(対価として収受し、又は収受すべき一切の金銭又は
金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額とし
、課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額及び当該消費税額を
課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する額を含まない
ものとする。以下この項及び次項において同じ。)とする。

ここで注目いただきたいのは、「収受すべき~」とされている点。
ココだけ読むと、すべき、だから時価、という見方が可能になる
だろう。

この点、所得税はどうなのか、次に検討してみよう。

所得税法36条(収入金額)1項
その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は
総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、
その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他
経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は
権利その他経済的な利益の価額)とする。

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ABOUT ME

松嶋洋 税務調査対策専門及び税務訴訟に強い税理士。 16,000部のベストセラー『税務署の裏側』著者。 元税務調査官であり、税制改正セミナー講師を 務めるなど、税法解釈と調査対策を得意とする。 税理士が教えない超簡単な調査対策について、 無料レポート発行中
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